要約
被覆を前日の夕刻に除去し翌朝(9時)製造した場合には、茶葉成分の変化が小さく品質に対する影響も少ないため、これにより労力分散が可能となる。一方、除去後日中の経過時間が長くなる場合には、被覆効果が低下する。
- キーワード: チャ、前日被覆除去、品質低下、労力分散
- 担当: 鹿児島農総セ・茶業部・栽培研究室
- 代表連絡先: Tel:0993-83-2811
- 区分: 九州沖縄農業・茶業
- 分類: 技術・普及
背景・ねらい
被覆は、茶の品質向上や摘採時期の調整等の効果があり、産地で広く実施されている。しかし、機械化されていないことから作業時間はほ場労働時間の9%を占め、早朝からの作業のため雇用の確保が負担となっている。これまで、前日の夕刻に被覆を除去する例が一部の茶業者でみられるが、品質への影響は明らかでなかったため、荒茶品質や化学成分との関係を調査し、新たな作業体系構築に寄与する。
成果の内容・特徴
- 荒茶品質及び荒茶の化学成分は、前日の夕方に被覆を除去したものと、朝除去したものでは同等である(表1、表2)。
- 朝被覆を除去し夕方摘採・製造すると、荒茶の全窒素は低下しNDFASH(繊維)は増加する(表2)。
- クロロフィル総量は、朝被覆を除去し夕方摘採・製造すると、即製造したものと比べて少なくなる(図1、図2)。
- 被覆期間が長期であっても、除去後の品質への影響は同じである。
- 被覆除去を前日夕刻に行うことで、早朝労働の解消と労働力の確保・分散、労働コストの低減が可能となる。
成果の活用面・留意点
- 普及対象地域は被覆を実施している産地である。
- 被覆除去(前日16時)後、翌朝摘採(当日9時)までの合計の日射量は3.4MJ~4.5MJ、日中(9時~16時)は17.5MJ~19.5MJで、夕刻から夜間の日射量が日中の20%程度時での結果である。
- 日中に除去し経過時間が長くなると被覆効果が低下するため、日中の除去後は速やかに摘採を行う。
- 一番茶期、「やぶきた」のデータであり、被覆資材は遮光率70%の黒色資材である。
具体的データ
その他
- 研究課題名: 被覆効果の安定化試験
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2004~2007年度