九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

濃ピンク系のスプレーカーネーション新品種「だいすき」

要約

スプレーカーネーション「だいすき」は、濃ピンク系の花色で花のボリュームがあり、花持ち日数は長い。株の仕立てが容易で、茎が硬く切り花に重量感がある。

  • キーワード: カーネーション、スプレータイプ
  • 担当: 長崎県農林技術開発センター・農産園芸研究部門・花き・生物工学研究室
  • 代表連絡先: Tel(代表)0957-26-3330(直通)0957-26-4319
  • 区分: 九州沖縄農業・野菜・花き
  • 分類: 技術・普及

背景・ねらい

カーネーションは長崎県花き生産における主要品目の1つである。近年、コロンビア等からの輸入増加に伴う国際競争が激化し、日本の栽培農家は経営の危機に瀕している。販売単価の向上による経営改善を図るためには、オリジナル品種の開発が必要である。

長崎県内産地の栽培面積の3割をピンク色の品種が占め、最も出荷量が多い花色である。中でも濃ピンク系は品種数が少なく生産者は濃ピンク系品種の開発を切望している。そこで、花にボリュームがあり、花持ち性に優れた濃ピンク系のスプレーカーネーション品種を育成する。

成果の内容・特徴

  • 2006年に、長崎県農林技術開発センター保存のカーネーション遺伝資源相互間で交配し、約18,000粒の種子を得た。同年、得られた種子を播種・育成し、2006年6月~2008年5月に花色、花の形質、草姿、生育特性に優れる系統を選抜し、増殖を開始した。その後2008年6月定植作型、2009年6月定植作型において、花の特性検定及び生育検定を実施し、諸形質の均一性・安定性を確認し、2010年3月に本品種の育成を完了した。2010年8月に出願公表された。
  • 「だいすき」は、10月の切り花長が対照品種「ライトピンクバーバラ」「レジーナ」と同様に、70cmに及ばないが、11月以降は70cm以上となる。また、秋季1番花から下垂度1.0と茎が硬く、切り花重が重い。輪数は4~5輪で、ブラインドの発生が少ない(表1)。
  • 「だいすき」は、1次摘心後萌芽数は6.1本と多い。花梗長は対照品種より短く、また2次花柄長も短い。花径が大きく、花弁数も多く、花にボリュームがある(表2、図1)。
  • 「だいすき」の花持ち日数は、前処理剤(クリザールK-20C)使用で22.8日と長く、対照品種よりすぐれる(表2)。

成果の活用面・留意点

  • スプレーカーネーションの濃ピンク系品種として、県内のカーネーション産地へ広く普及する。
  • リレー栽培を行っている北海道七飯町を除く県外産地への栽培許諾については、現在検討中である。

具体的データ

図1

表1

表2

(長崎県農林技術開発センター)

その他

  • 研究課題名: カーネーションの新品種育成
  • 予算区分: 県単
  • 研究期間: 2006~2010年度
  • 研究担当者: 櫨山 妙子