九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

スイートピーの日持ち向上に効果的なSTS処理方法

要約

スイートピーの日持ち向上のための前処理は、濃度0.1mM及び0.05mMのSTS溶液を約1日吸収させるより、濃度0.2mMのSTS溶液を1時間程度吸収させた後、水道水で約1日水あげする方法が高い効果を得られる。

  • キーワード: スイートピー、前処理、STS
  • 担当: 宮崎総農試・生産流通部
  • 代表連絡先: Tel:0985-73-2123
  • 区分: 九州沖縄農業・野菜・花き
  • 分類: 技術・普及

背景・ねらい

スイートピー採花後の落花及び花弁の萎れ等を抑制するためには、植物ホルモンの一つであるエチレンの作用を阻害する働きを持つSTS(チオ硫酸銀錯塩)による前処理が不可欠である。

しかし、その処理方法が産地や生産者によって異なっているのが現状であり、そのことが花弁の萎れ等の発生による日持ちの違いに影響していると考えられる。そこで、スイートピーの日持ち向上に効果的なSTS前処理方法を確立する。

成果の内容・特徴

  • STS溶液濃度0.2mMの1時間処理は、STS溶液濃度0.05mMの20~24.5時間処理と比較してSTS推定吸収量はほぼ同量となるが、日持ち日数は「ステラ」及び「彩姫」で長い(表1、表2)。
  • STS溶液濃度0.4mMの1時間処理は、STS溶液濃度0.1mMの20~24.5時間処理と比較してSTS推定吸収量はほぼ同量となるが、日持ち日数は長い(表1、表2)。
  • 収穫後速やかに短時間でSTSの所要量を吸収させることにより、エチレンの影響を効果的に抑制し、日持ち日数が長くなる。
  • STS溶液濃度0.4mMの1時間処理とSTS溶液濃度0.2mMの1時間処理との間には日持ち日数に差がないことから、約2.0μmol/100gFWのSTSを吸収させることでエチレンの影響を十分に抑制できる(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 本成果は、原液濃度0.2MのSTS剤(商品名:クリザールK-20C)を単独使用した場合のものである。
  • 本成果におけるSTS推定吸収量は、前処理終了時の植物体重量、前処理液の減少量及び前処理液の希釈倍率から算出している。
  • 外観調査により花弁の萎れ等が全小花数の半分以上認められた個体について、試験開始からその時点までに要した日数をその個体の日持ち日数とし、それらの平均値をもって当該試験区の日持ち日数と定義している。
  • 本成果から推奨するスイートピーの前処理方法は、(1)収穫後速やかに0.2mMのSTS溶液を1時間程度吸収させ、(2)水道水にて約一日水あげし、(3)既定の出荷手順にて箱詰後に出荷することである。

具体的データ

表1

表2

表

(宮崎県総合農業試験場)

その他

  • 研究課題名: 県産花きの高付加価値化を目的とした品質保持技術の開発
  • 予算区分: 県単
  • 研究期間: 2008~2010年度(2008年度)
  • 研究担当者: 藤原 明紀