九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

閉鎖型苗生産装置を活用した鉢物用ファレノプシス苗生産技術

要約

閉鎖型苗生産装置における鉢物用ファレノプシスの育苗では、白色蛍光灯ではPPFD70~140μmol・m-2・s-1の光環境で、バーク・スポンジ混合培地を用い、給液深さを2~4cmとするのが良い。

  • キーワード: ファレノプシス、閉鎖型育苗システム、光量、培地、給液深さ
  • 担当: 福岡農総試・花き部・花き栽培チーム
  • 代表連絡先: Tel:092-922-4958
  • 区分: 九州沖縄農業・野菜・花き
  • 分類: 技術・参考

背景・ねらい

閉鎖型苗生産装置(以下「閉鎖型」と記す)は、野菜や花苗類などで実用化されつつあるが、弱光を好み、栽培に土壌を用いず、育苗期間が数ヶ月以上の長期にわたる洋ラン類においては、閉鎖型育苗システムが確立されていない。

閉鎖型は、人工光源と底面給水を基本としている点で従来の農家慣行ハウスにおける育苗方法と大きく異なることから、鉢物用ファレノプシスの閉鎖型苗生産に最適な光環境と養水分管理方法を確立する。

成果の内容・特徴

  • 閉鎖型育苗における白色蛍光灯のPPFDは、70~140μmol・m-2・s-1が適している。560μmol・m-2・s-1では、乾物重(とくに根重)は大きくなるものの、葉色が退色するため、苗品質は悪化する(表1、図1)。
  • バーク・スポンジ混合培地(体積比2:1)を用い、深さ2~4cmの給液管理を行うと、苗の生鮮重は同一給液管理の水苔と同等だが、苗育成後の花成誘導処理における花茎発生率が高まる(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 鉢物用ファレノプシスの閉鎖型育苗システムの技術資料として活用できる。
  • 慣行ハウス(開放型)でのファレノプシス生産における人工光源及び養水分管理に活用できる。
  • バーク・スポンジ混合培地は洋ランの底面給水用培地としてオランダで使用されているものである。福岡県内では約2,000円弱(容量40L)で購入可能であり、同容量のバーク単体より安価である。粉砕スポンジとバークがあれば自作も可能である。

具体的データ

表1

図1

表2

(福岡県農業総合試験場)

その他

  • 研究課題名: 閉鎖型洋ラン育苗システムの確立
  • 予算区分: 県単
  • 研究期間: 2006~2008年
  • 研究担当者: 中村 知佐子、谷川 孝弘、松野 孝敏、國武 利浩