要約
夏秋ピーマンにおいて、ミニハウス(間口1.8m)群を防虫ネットで全面展張することで、夏期のタバコガの被害を著しく軽減できるため、商品果収量が多くなる。また、遮光や昇温抑制効果も認められる。
- キーワード: 夏秋ピーマン、ミニハウス、防虫ネット、低コスト、タバコガ
- 担当: 大分農林水産研・農業研究部・トマト・ピーマンチーム、病害虫チーム
- 代表連絡先: Tel:0974-22-0671
- 区分: 九州沖縄農業・野菜・花き
- 分類: 技術・参考
背景・ねらい
夏秋ピーマンのタバコガ対策として、間口6mまたは3mのビニルハウスの側面を防虫ネットで覆う等の対策は行われているが、間口1.8mの通称ミニハウスでは側面のネット被覆が不可能であるため、タバコガ被害軽減として有効な対策がない。
そこで、耐風強度20m/s程度を想定し、低コストで極めて簡易な防虫ネットの展張技術を開発し、タバコガ被害軽減効果や収量、作業環境への影響について明らかにする。
成果の内容・特徴
- 6mm×2mm目合いの防虫ネット(ポリエチレン素材)をミニハウス(間口1.8m)群の外から全面展張するため、高張力プラスチック線を3.5m間隔で防虫ネットの上下に配線し、螺旋杭で固定する(図1)。さらに、防虫ネットの下垂をなくすために、サイドホルダーを3m間隔でミニハウス間通路部のミニハウス肩部に設置し、グラスファイバーでアーチを作成する。
- タバコガ被害果数は、全面展張区が無処理区に対し、極めて低くなる(図2)。また、農薬使用回数が無処理区に対し、概ね半減となる(データ略)。
- 防虫ネットの全面展張により、無処理区に対し、盛夏期晴天日における11時~14時の1時間毎の平均照度は89%程度で、ハウス内平均気温は2.5°C程度低くなる(図3)。
- 全面展張区では、無処理区に対し、栽培終了時の茎長および節間長がやや長くなるが、商品果収量は10%程度高くなる(表1)。
- 設置資材経費は10aあたり29万円で10aあたりの設置時間は1人~4人で約17時間/人となる。台風時における除去作業時間は3人で30分程度、台風通過後の再修復作業時間は4人で7時間程度となる(データ略)。
成果の活用面・留意点
- 展張後のタバコガ発生初期の防除を徹底して行う。
- 耐風強度20m/s程度を想定しているため、風速20m以上の場合は、防虫ネットを必ず除去する。
具体的データ
(大分県農林水産研究指導センター)
その他
- 研究課題名: 夏秋ピーマンにおけるe-naおおいた安定生産技術の確立
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2010年度
- 研究担当者: 山下 大輔、上谷 麻梨恵