九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

夏秋トマトの抑制作型による安定出荷と収益性の向上

要約

夏秋トマトにおいて、2本仕立て株間40cmで7月上旬に定植を行うと、9月以降の出荷量が増加する。また、普通作型と比較して収量は27%少ないものの、所得はほぼ同等である。品種は、早生性で収量・品質が優れる「みそら64」が適する。

  • キーワード: 夏秋トマト、後期作型、収益性
  • 担当: 大分農林水産研・農業研究部・トマト・ピーマンチーム
  • 代表連絡先: Tel:0974-76-0033
  • 区分: 九州沖縄農業・野菜・花き
  • 分類: 技術・参考

背景・ねらい

大分県の夏秋トマト産地では、梅雨時期の寡日照や高温の影響から9月以降の収量・品質共に低下する。そこで、普通作型と抑制作型との組み合わせを検討することで、9月以降の収量を確保し、安定的な出荷体制システムを構築する。

成果の内容・特徴

  • 7月上旬に第1果房開花苗を慣行の栽植密度で定植すると8月上旬からの収穫が可能となり、600kg/a程度の収量が得られ、7月中旬定植より収量が高くなる(図1)。
  • 抑制作型の株間40cmの栽植密度では、1果重に差がなく、株間50cmと比べて収量が増加する(表1)。
  • 抑制作型は普通作型と比べると、単価の上昇する9月以降の収量が高く推移する。また、収益性は2008年度産の販売状況で試算すると普通作型に対して抑制作型は、収量で73%、販売額で94%、所得で99%となる(表2)。
  • 収穫期間が短い抑制作型には、可販果収量やA品率が高く、裂果・空洞果の発生割合が少ない「みそら64」が適する(表3)。

成果の活用面・留意点

  • 抑制作型の育苗時期が梅雨の寡日照、高温期にあたるために、低位段での障害果が発生しやすい。
  • 抑制作型の収穫ピークは台風の襲来時期と重なるために、耐候型ハウスを用いた雨よけ栽培が対象である。
  • 抑制作型と普通作型を組み合わせることによって、作業分散ができ、経営規模の拡大が図れる。

具体的データ

図1

表1

表2

表3

(大分県農林水産研究指導センター)

その他

  • 研究課題名: 夏秋トマトの抑制作型による安定出荷と収益性の向上
  • 予算区分: 県単
  • 研究期間: 2008~2010年度
  • 研究担当者: 藤谷 信二、江藤 真美子