要約
夏秋トマトにおいて、8~9月の裂果発生時期において、かん水開始時間を最低気温予測が25℃以上では7時、20℃前後では8時、15℃前後では10時を目安に設定することにより、6時定時かん水より裂果を軽減できる。
- キーワード: 夏秋トマト、裂果、水分管理、最低気温予測
- 担当: 大分農林水産研・農業研究部・トマト・ピーマンチーム
- 代表連絡先: Tel:0974-22-0671
- 区分: 九州沖縄農業・野菜・花き
- 分類: 技術・参考
背景・ねらい
大分県の夏秋トマト産地では、盛夏期の高温条件下で、着果不良や草勢低下などにより、収量や品質の低下が見られる。特に8~9月にかけて発生する裂果が大きな問題となっている。
これまで、裂果発生要因の一つとして、茎葉や果実への強日射との関係が報告されているが、ここでは、最低気温とトマトの吸水の関係に着目し、最低気温予測に応じてかん水開始時間を変動させ、裂果発生に与える影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
- トマトの吸水は、概ね外気温が20℃を境に気温の上昇(日射量の増大)とともに増加する傾向がある。また、日射量が少ない曇天時でも、外気温が24℃を超えていれば、吸水が認めらる(図1)。
- かん水同時施肥栽培において、かん水開始時間を最低気温予測が25℃以上では7時、20℃前後では8時、15℃前後では10時を目安に設定する変動かん水では、6時定時かん水より、裂果の発生が少なくなり、特に裂果程度の激しい外品になるほど、その傾向が強くなる(表1)。
- 収量は、変動かん水をすることで1果重が小さくなる傾向が見られるが、差は認められない(表1)。また、品質は、変動かん水により、A品およびB品の割合が高くなる(図2)。
- 現地実証試験においても、変動かん水により、6時定時かん水より裂果程度の大きい外品(出荷不可)の割合が減少することが認められる(表2)。
成果の活用面・留意点
- 本結果は、かん水量が多い8~9月を対象としている。
- 大分県では、近隣のアメダスデータの前日の最低気温予測を参照し、裂果注意報を産地に出し、変動かん水技術の普及を図っている。
具体的データ
(大分県農林水産研究指導センター)
その他
- 研究課題名:高温化に伴う夏秋トマトの着果安定と品質向上技術
- 予算区分:県単
- 研究期間: 2008~2010年度
- 研究担当者:藤谷信二、木村真美