要約
イチゴ「さがほのか」の育苗において、7月下旬~8月上旬に発生するランナーを残して子苗を着生させると、本葉4~5枚の時に花芽分化する。そして本葉4~5枚の時に本圃に定植すると、慣行苗の80%程度の年内及び5月まで可販果収量が得られる。
- キーワード: イチゴ、ランナー、子苗、省力化
- 担当: 大分農林水研・農業研究部・イチゴチーム
- 代表連絡先:Tel:0978-37-0115
- 区分: 九州沖縄農業・野菜・花き
- 分類: 技術・参考
背景・ねらい
イチゴ栽培では、慣行の定植苗(以下、定植元苗と記す、7月中旬採苗)から発生したランナーに着生させた子苗(以下、ランナー子苗と記す)を生産に活用することは育苗の省力化につながると考えられる。そこで、ランナー子苗の生産性を高める方法を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 「さがほのか」では定植元苗が花芽分化するときに、元苗から発生したランナー子苗は葉数が本葉4~5枚あれば、花芽分化する(図1)。
- 「さがほのか」の慣行苗より8月上旬に発生したランナー子苗は、慣行苗に近い生育、収量が得られ、9月に発生するランナーでは収量が低くなる(表1)。
- 「さがほのか」のランナー子苗の葉数が4~5枚の時に定植すると、慣行苗と同等の時期に頂花房が出雷するが、頂花房花数は慣行苗より少なく、年内の全平均果重も小さくなる(図2、表2)。
- 「さがほのか」のランナー子苗の葉数が4~5枚の時に定植すると、慣行苗の80%程度の年内および5月まで収量が得られ、平均果重は慣行苗よりやや小さくなる。また、そのときの定植元苗の生育、収量は慣行苗(対照)と同程度である(表2)。
成果の活用面・留意点
- 定植元苗から目標とする子苗を確保したら、その先に発生する二次子苗やランナーは摘除する。
- 子苗を本圃に定植する際はランナーピンで固定する。
- 本技術は、規模拡大を志向する経営体の省力化技術とする。
具体的データ
(大分県農林水産研究指導センター)
その他
- 研究課題名: イチゴ規模拡大を可能にする新生産方式の開発
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2008~2009年度
- 研究担当者: 安部 貞昭、佐藤 如、戸井田 雄一、畑山 とも子、山田 芳文