九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

促成栽培に適したトマト黄化葉巻病抵抗性品種の選定

要約

促成栽培に適するトマト黄化葉巻病抵抗性品種として、収量性および食味に優れる「TY桃太郎さくら」、「秀麗」を選定した。

  • キーワード: トマト、トマト黄化葉巻病、抵抗性、品種、食味
  • 担当: 福岡農総試・野菜栽培部・野菜栽培チーム、病害虫部・病害チーム
  • 代表連絡先: Tel:092-922-4364
  • 区分: 九州沖縄農業・野菜・花き
  • 分類: 技術・普及 

背景・ねらい

本県の促成トマト栽培においては、トマト黄化葉巻病の防除対策が最重要課題であり、農薬による体系防除と耕種的防除に加え、抵抗性品種の導入が急がれている。
そこで、促成栽培に適したトマト黄化葉巻病の抵抗性を有し、収量、果実品質、食味に優れる大玉有望品種を選定する。

成果の内容・特徴

  • トマト黄化葉巻病抵抗性品種のうち、「TY桃太郎さくら」、「秀麗」は抵抗性を有しない主要品種(以下、対照品種とする)に比べて収量性が同等以上で、食味も同等である。一方、「TY桃太郎アーク」は糖度、食味は対照品種と同等であるが収量性が劣り、「ユニバーサル17」、「TYBET」、「エーゲアン」は対照品種に比べて収量性は高いが、糖度が低く食味が劣る(表1)。
  • 「TY桃太郎さくら」、「秀麗」は開花日が対照品種に比べて早い。主茎長は「TY桃太郎さくら」が対照品種に比べて長い。また、各果房直下の茎径は、両品種とも対照品種に比べて細く、草勢はやや弱い(表2)。
  • 抵抗性品種はTYLCVイスラエル株の接種によりいずれも感染するが、罹病性の対照品種「ハウス桃太郎」に比べて病徴の程度が軽微である(表2)。

成果の活用面・留意点

  • 促成トマト栽培における適品種選定およびトマト黄化葉巻病防除対策資料として活用できる。
  • 抵抗性品種でもTYLCVに感染し、他ほ場への感染源となる可能性があるため、慣行の薬剤散布およびハウスへの防虫ネット設置は必ず行う。
  • 「TY桃太郎さくら」、「秀麗」はTYLCVイスラエル株マイルド型に対しては抵抗性を示さない。

具体的データ 

表1

表2 

 

その他

  • 研究課題名: 促成トマト有望品種の選定
  • 予算区分: 県単
  • 期間: 2005~2007年度