要約
トマトの夏季育苗において、熱線遮断フィルムを展張した育苗ハウスは、農業用ビニルに比べ昇温が抑制されほぼ外気温並みとなり、苗の葉温および培地温も低くなる。また、第1花房の着花節位が下がるため定植時期が一週間程度早まり、収穫開始時期も早くなる。
- キーワード: トマト、夏季、育苗、熱線遮断、フィルム、昇温抑制、着果節位
- 担当: 熊本農研セ・農園研・野菜研究室
- 代表連絡先: Tel:096-248-6446
- 区分: 九州沖縄農業・野菜・花き
- 分類: 技術・普及
背景・ねらい
トマトの夏季育苗では、トマト黄化葉巻病対策として媒介虫の侵入を防ぐために、育苗ハウスへの微細防虫ネットの展張が有効とされている。しかし、このネットを展張すると通風が悪くなることから、高温によるトマトの生育への影響や収穫開始時期の遅れが懸念される。
そこで、夏季のトマト育苗において熱線遮断フィルムを展張した育苗ハウスの昇温抑制効果とトマト苗に及ぼす影響を明らかにする。
成果の内容・特徴
- トマトの夏季育苗において、熱線遮断フィルムを展張したハウスでは、昇温が抑制され、ハウス内気温はほぼ外気温なみとなる。(表1)。
- トマト苗の葉温および育苗ポットの培地温は、一般の農業用フィルム(以下、一般フィルム)の展張に比べて低くなる。特に生長点付近が大きく低下する(図1)。
- 第1花房の着花節位は、一般フィルムより低くなるため、定植時期が一週間程度早まり、収穫開始時期も早まる(表2、表3)。
成果の活用面・留意点
- 今回使用した熱線遮断フィルムは、商品名「近紫外線除去メガクール」(MKVプラテック株式会社)である。
- 熱線遮断フィルムを展張した育苗ハウスでは、一回当たりのかん水量を減らしたり、かん水回数を少なくする等、ポット床土の乾きに応じた水管理が必要となる。
- 丸屋根型単棟ハウス(南北棟、84m2(間口6m、奥行き14m)、棟高2.7m、側面0.4mm目合い防虫ネット(サンライトP)を軒高(1.4m)まで展張)による試験データである。
具体的データ
その他
- 研究課題名: トマト黄化葉巻病対策を基軸としたトマト栽培法の開発
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2004~2008年度