九州沖縄農業研究センター

九州沖縄農業試験研究の成果情報

中山間地における根深ネギの8月上旬からの安定出荷技術

要約

中山間地において、根深ネギを8月上旬より安定出荷するには、品種「ホワイトスター」を用い、3月上旬に定植するとよい。また、低温年の低温による障害は、定植後1ヶ月程度不織布でべたがけ被覆することにより軽減できる。 

  • キーワード: 根深ネギ、中山間地、品種、8月どり、不織布、べたがけ被覆
  • 担当: 大分農林水産研野茶・久住試験地
  • 代表連絡先: Tel:0974-76-0033
  • 区分: 九州沖縄農業・野菜・花き
  • 分類: 技術・普及  

背景・ねらい

大分県の根深ネギは、平坦地の産地では周年栽培されているが、8月頃から高温のため出荷量が減少する。一方、中山間地の産地では夏秋栽培が行われているが、出荷開始が8月下旬以降が主体となっている。周年安定出荷は産地強化の観点より重要であり、そのためには、8月上旬より安定出荷できる栽培が必要となる。
そこで、中山間地において、現状の3月下旬以降定植、8月下旬以降収穫開始の作型を前進化させ、8月上旬から安定出荷を可能にするために、適品種の選定や定植時期などについて検討する。 

成果の内容・特徴

  • 品種は「ホワイトスター」が「吉蔵」よりも葉鞘部の肥大性、収量性に優れ、A品率も高く、8月上旬収穫に適する(図1)。
  • 3月上旬に定植すると、Mサイズ以上の収量が300kg/a以上得られ、3月中旬定植よりも、調製重、葉鞘径が大きい(図2、表1)。
  • 播種粒数は、3粒播きが2粒播きより総収量は高いが、2L・Lサイズの収量は2粒播きの方が高まる(図2)。
  • 3月上旬定植においては、低温の厳しい年には活着不良等による苗立ち数の減少が見られるが、不織布で定植後1ヶ月程度べたがけ被覆を行うことにより軽減できる(表2)。

成果の活用面・留意点

  • チェーンポットCP-303で50~60日間育苗することを前提にしたものである。
  • 標高500m(平均気温13.5°C)前後の中山間地において活用できる。
    (試験の実施場所:大分県竹田市久住町久住試験地場内圃場標高540m)
  • べたがけ被覆によって、ボトリチスによると思われる立ち枯れ様症状が生じやすいので、被覆前にロブラール水和剤等の殺菌剤を散布するとより生産が安定する。

具体的データ 

図1

図2

表1

表2 

 

その他

  • 研究課題名: 白ねぎの中山間地における作型及び高品質生産技術の確立
  • 予算区分: 県単
  • 研究期間: 2006~2008年度