要約
トマトの1段密植栽培では、実生苗が適応性が高い。腋芽の挿し芽苗や摘心による2本仕立て苗の利用は、収穫時期の長期化や不揃い、果実品質が低下(果実の凸凹)する場合が多くなり、収量が安定しないので適応性がやや劣る。
- キーワード: トマト、1段密植、苗、実生苗、腋芽利用、2本仕立て
- 担当: 大分農林水産研野茶・宇佐試験地
- 代表連絡先: Tel:0978-37-0115
- 区分: 九州沖縄農業・野菜・花き
- 分類: 技術・参考
背景・ねらい
トマトの1段密植栽培では、密植栽培であること、年間に複数回作付けすることから、多くの苗を必要とする。そこで、種子コストの低減を図ることができる腋芽の挿し芽苗や2本仕立て苗利用における収量性を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 低段密植栽培には、実生苗が収量、品質が優れ適応性が高い。腋芽の挿し芽苗や2本仕立て苗は利用可能であるが、収穫期間の長期化や果実品質が低下(表面の凸凹)(腋芽の挿し芽苗(表1))、可販果果数が減少する(2本仕立て苗(表2))場合が多くなり、収量が不安定である。腋芽の挿し芽苗で第2花房まで収穫する場合でも、第1花房の可販果収穫果数が不安定である(表3)。
- 種子コスト低減のために、腋芽の挿し芽苗を利用する場合は、開花までに1段花房を除去しても、2段花房は充実せず、収量が同等か減少することから、1段花房に着果した果実は収穫した方がよい(表1)。
- 腋芽の挿し芽苗の養成は、葉が3~4枚着生した腋芽をセルトレイに挿して行い、発根後定植する。セルトレイの培地は、杉バークでも利用できるが、オアシス等の育苗用成型培地を用いることで、育苗期間が根鉢の形成に左右されない。着葉数2~3枚の腋芽では、発根前に茎が腐敗する場合がある。
- 種子コスト低減のために、摘心による2本仕立て苗を利用する場合は、セルトレイに播種後、本葉4~6枚の時に子葉直上で摘心すると、2本仕立て苗の割合が高くなり、子葉葉腋から萌芽する2本の腋芽が揃いやすい(表4)。2本仕立て苗の育苗期間は、冬季作で45日程度と、実生苗より20日間程度長くなる。
成果の活用面・留意点
- 実生苗、腋芽の挿し芽苗、2本仕立て苗とも72穴セルトレイの利用が望ましい。
- エブ&フロー育苗を行う。
具体的データ
その他
- 研究課題名: トマトの周年生産システムによる高糖度・多収技術の確立
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2006~2008年度