要約
夏秋トマト簡易隔離床栽培において、施肥を単肥配合により窒素形態を硝酸態窒素94%とすることで、可販果収量が多くなり、尻腐れ果の発生を低下させることができる。
- キーワード: 夏秋トマト、簡易隔離床、養液土耕、尻腐れ果、単肥配合、硝酸態窒素
- 担当: 大分農林水産研野茶・久住試験地
- 代表連絡先: Tel:0974-76-0033
- 区分: 九州沖縄農業・野菜・花き
- 分類: 技術・参考
背景・ねらい
大分県の夏秋トマト産地では、養液土耕栽培システムによる簡易隔離床栽培が導入されている。隔離床栽培は、防根透水シートを用いて、根域を制限して生育(水分)制御を行うため、梅雨明け後の高温等で通常の養液土耕栽培よりも尻腐れ果の発生が多い傾向にある。
そこで、尻腐れ果発生要因の一つである施肥窒素の形態を見直すことで、尻腐れ果発生抑制のための施肥方法を検討する。
成果の内容・特徴
- 単肥配合の生育は、対照の水溶性複合肥料と同等である(表2)。被覆燐硝安加里を基肥に施用すると、5段果房開花期の葉柄硝酸イオン濃度の低下と生育遅延が著しくなり、生育を促進するために増肥する必要がある(表1、表2、図1)。
- 可販果収量は、外品率が最も低かった単肥配合区が最も多く、1果重も重くなる傾向にある(表3)。特に、単肥配合区は、対照区に比べて7段果房以降の1果重が重くなる(データ未掲載)ことから、9月以降の低温が施肥窒素の形態に影響していることが推察される。
- 尻腐れ果の発生率は硝酸態窒素が94%の単肥配合が最も少なく、アンモニア態窒素を多く含む被覆燐硝安加里を基肥として施用すると最も多く発生する(表3)。
成果の活用面・留意点
- 単肥配合とするため2液タイプのシステム使用が前提となる。
- 単肥配合で栽培すると1果重が重くなる傾向があるので、規格品を生産するには9月以降の窒素施用量を減ずる必要がある。
具体的データ
その他
- 研究課題名: 高温化に伴う夏秋トマトの着果安定と品質向上技術
- 予算区分: 県単
- 研究期間: 2008年度