要約
電照栽培用黄色系秋ギクとして、花茎上部のボリュームが優れ、側枝数が非常に少なく摘蕾作業を大幅に削減できる「月姫」を育成した。
- キーワード:秋ギク、電照抑制栽培、品種育成、無側枝性
- 担当:福岡農総試・花き部・花き育種チーム
- 代表連絡先: Tel:092-922-4958
- 区分:九州沖縄農業・野菜・花き
- 分類:技術・普及
背景・ねらい
電照栽培用の黄色系秋ギクとして福岡県が育成した「秋華」(2004年度成果)は、花色が濃黄色で、側枝数が少なく、電照打切りから収穫までの期間が短いことから特徴ある地域特産品種として普及、定着しつつある。しかし、本種は節間や花首が長く、上位葉が小さいことから、切り花のボリュームが不足し、大規模産地の業務用品種になり得るには不十分である。
そこで、茎の伸長性に優れ、側枝数が少なく、花茎上位葉部のボリュームが優れる黄色系秋ギク品種を育成する。
成果の内容・特徴
- 2004年に福岡県が育成した黄色系秋ギク「秋華」を種子親とし、本場保有の黄色系秋ギク12系統を花粉親として交配し、約2,500粒の種子を得た。2005年6月にこれらを播種し、得られた実生株約2,200個体の中から、花容・草姿が優れる4系統を1次選抜した。2006年9月及び2007年9月にそれぞれ定植して電照抑制12月出し栽培を行い、形質が安定していることを確認し、生産性及び商品性が高い系統を選抜した。
- 「月姫」は、電照抑制12月出し栽培で収穫日が従来品種の「精興の秋」よりも4~6日早い。側枝数が6.5~7.6で、「精興の秋」の36.2~42.3と比較して非常に少なく、摘蕾作業を大幅に削減できる。花茎の上位部のボリュームが優れ、花弁数(舌状花数)が多い(表1、表2、図1)。
成果の活用面・留意点
- 秋ギクの黄色系品種としてキク産地へ広く普及する。
- 無側枝性であることから、挿し穂を得るための親株は涼温の4月までに定植する。
具体的データ
その他
- 研究課題名:秋ギクおよび夏秋ギクの新品種の育成
- 予算区分:県単
- 研究期間:2004~2007年
- 研究担当者:佐伯一直、谷川孝弘、松野孝敏、國武利浩、山田明日香、巣山拓郎、中村知佐子