要約
スプレーバラ切り花を、前処理でショ糖とブドウ糖を2:1で組み合わせて吸収させると、開花性が向上し観賞日数が延長する。処理濃度は3%が、糖吸収量は花新鮮重100g当たり0.8~1gが適当である。
- キーワード:バラ、前処理、品質保持
- 担当:佐賀農研セ・有機環境農業部・土壌肥料研究担当
- 代表連絡先: Tel:0952-45-2141
- 区分:九州沖縄農業・野菜・花き
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
バラは採花後、出荷まで冷蔵庫で保管されるのが普通である。バラ切り花の品質保持には糖が有効と考えられるが、冷蔵庫内の処理では吸水量が少ないために糖吸収量が少なく、前処理効果は期待できない。温度を高く又は濃度を濃くすれば、糖吸収量は増加し処理効果が期待できるが、障害が発生しやすくなる。
そこで、バラ切り花への前処理で、観賞日数の延長や花弁の展開促進(開花促進)等の効果が高い処理濃度や糖吸収量等の前処理条件を明らかにする。
成果の内容・特徴
- ショ糖、麦芽糖、トレハロース、ブドウ糖、果糖を前処理に単独で用いると、障害の発生、開花促進、観賞日数等からは、ショ糖が、次いでブドウ糖の効果が高い(表1)。
- ショ糖とブドウ糖を2:1で組み合わせて前処理すると、ショ糖単独よりも開花性が向上し観賞日数が延長しやすい(表2)。
- 処理温度は、15~25°Cでは効果の差は小さいが、温度が低いと吸収速度は遅く、温度が高いと葉に障害が発生しやすい(データ略)。
- 処理濃度は、4%以上では葉に障害が発生しやすく、処理効果と処理時間を考えると2~3%が適当である(表3)。
- 品質向上に適当な糖吸収量は、花新鮮重100g当たり0.8~1g程度で、品種間差がある。これ以上吸収すれば、開花率は向上し観賞日数は延長するが、葉や花弁に障害が発生しやすい(表4)。
- 採花当日と採花翌日の処理では、同程度の効果がある(データ略)。
成果の活用面・留意点
- 冷蔵庫内での処理は、吸水量が少なく処理効果はない。
- 適当な糖吸収量には品種間差があり、吸水速度も品種間差がある。このため、品種毎に事前に試験して確認する。
- 細菌の増殖防止に殺菌剤の使用が不可欠であり、本試験では殺菌剤を併用している。
- 前処理後は、温湿度と照度は室内で成り行きとし、活け水は交換せず減少分を補充した。
具体的データ
その他
- 研究課題名:スプレータイプ切り花の採花後の開花促進と鮮度保持技術の開発
- 予算区分:県単
- 研究期間:2006~2008年度
- 研究担当者:大塚紀夫、中山裕介、辻聡宏