要約
イチゴ新品種「こいのか」の早出し促成栽培において、年内収量は暗黒低温処理より夜冷短日処理した苗が多い。両処理とも8月20日に開始すると、年内収量は多いが酸度が高くなる。
- キーワード:イチゴ、こいのか、夜冷短日処理、暗黒低温処理、収量、酸度
- 担当:長崎農技セ・農産園芸研究部門・野菜研究室
- 代表連絡先: Tel:(代表)0957-26-3330、(直通)0957-26-4318
- 区分:九州沖縄農業・野菜・花き
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
イチゴ新品種「こいのか」は、現在県内において栽培試験が行われている。
品種特性として、花芽分化は「さちのか」よりも早いため定植時期が早い。しかしながら更なる早出しを目的として夜冷短日処理や暗黒低温処理(株冷)を行なう場合の適正な入庫日・温度処理等については明らかでない。
そこで、夜冷短日処理および暗黒低温処理の入庫日の違いが収量等へ及ぼす影響について検討する。
成果の内容・特徴
- 夜冷短日処理では、年内収量は8月17日および20日と26日開始の入庫は同程度である(表3)。
- 夜冷短日処理では、8月20日から処理を開始して栽培すると11月中旬から収穫でき、普通促成より2週間ほど早くなる(表1)。
- 夜冷短日処理では、8月17日および8月20日に入庫を行なうものは8月26日開始に入庫した場合に比べて、糖度は同程度であるが1果重が小さく酸度が高い(表1)。
- 暗黒低温処理では、15°C・17°C処理ともに8月20日に入庫を行なうものは26日に入庫した場合に比べて、糖度は同程度であるが酸度が高い(表2)。
- 夜冷短日処理が普通ポットや暗黒低温処理よりも年内収量・総収量ともに高い傾向にあるため、「こいのか」で早出しを行なう場合は夜冷短日処理が良い(表3、表4)。
成果の活用面・留意点
- 基肥を含む肥培管理・栽培管理は「さちのか」の基準で行った結果である。
具体的データ
その他
- 研究課題名:西南暖地におけるイチゴ促成栽培に適した優良系統の選定
- 予算区分:県単(農産園芸課)
- 研究期間:2004~2008年度
- 研究担当者:藤田晃久、野口浩隆