要約
トマト黄化葉巻病抵抗性品種‘TY桃太郎さくら’は、TYLCVイスラエル系統に対する感染・発病抑制能力が高い。また、ハウス内に生存するタバココナジラミのTYLCV保毒虫率も低い。
- キーワード:トマト、トマト黄化葉巻病、TYLCV、抵抗性品種
- 担当:熊本農研セ・い業研・作付体系研究室
- 代表連絡先: Tel:0965-52-0372
- 区分:九州沖縄農業・野菜・花き
- 分類:技術・参考
背景・ねらい
トマト黄化葉巻病は、タバココナジラミが病原ウイルスTYLCVを媒介するウイルス病で、国内で発生しているTYLCVにはイスラエル系統とイスラエルマイルド系統があり、熊本県にはイスラエル系統が分布している。トマトがTYLCVに感染し発病すると生育が著しく阻害され収量が低下するため、生産上の大きな問題となっている。近年、本病に対する抵抗性品種が育成され、新たな防除対策として一部で導入が始まっているが、抵抗性品種は発病を抑制するものの体内でウィルスが増殖し、伝染源となりうると指摘されている。そこで、抵抗性品種‘TY桃太郎さくら’の感染・発病抑制能力およびハウス内に生存するタバココナジラミのTYLCV保毒の割合を明らかにする。
成果の内容・特徴
- 栽培終了時(1月中旬)における‘TY桃太郎さくら’の感染株率は3.0%、発病株率は0.0%で、罹病性品種‘ハウス桃太郎’の感染株率65.0~82.0%、発病株率64.7~72.2%に比べ極めて低く、‘TY桃太郎さくら’はTYLCVイスラエル系統に対し強い抵抗性を発現する(表1、図1)。
- 栽培終了時における‘TY桃太郎さくら’を栽培したハウス内に生存するタバココナジラミのTYLCV保毒虫率は0.0~4.2%で、‘ハウス桃太郎’を栽培したハウス内の62.5~75.0%に比べ低い(図2)。
成果の活用面・留意点
- 感染の機会が増えると‘TY桃太郎さくら’も発病することがある。
- 伝染源としてのリスクを高めないため、‘TY桃太郎さくら’栽培時においてもタバココナジラミの密度が高まらないよう適期に薬剤防除を行うとともに、物理的・耕種的防除については罹病性品種栽培時と同様に行う。
具体的データ
その他
- 研究課題名:果菜類における新規コナジラミ(バイオタイプQ)等防除技術の開発
- 予算区分:委託
- 研究期間:2006~2008年度
- 研究担当者:白水武仁、吉田耕起、岩本英伸、山並篤史