北海道農業研究センター

研究内容(大木研究室)

寒地畑作物で問題となるウイルス病の伝染環の解明と防除技術の開発

北海道の主要畑作物であるジャガイモやコムギにおいて、各種ウイルス病が発生し、大きな問題となっています。植物のウイルス病は、一度発病すると薬で治すことができないため、ウイルス感染を防ぐことが重要となります。ウイルスの多くは、圃場内外の伝染源からウイルスを獲得した昆虫や菌などの媒介生物によって媒介されます。また、ジャガイモでは種イモにウイルスが感染すると、次世代で発病します。私たちは、ウイルスの伝染環を解明し、その伝染環を遮断してウイルス病を抑えることを目指し、研究に取り組んでいます。


図1 ウイルスによるモザイク病


図2 ジャガイモYウイルスの伝染環

参考文献 : Sano M., Ohki T. et al. (2019) J Econ Entomol 112, 85-90.

ウイルス抵抗性遺伝子の作用機作の解明

ウイルス病の発生を防ぐには、ウイルス抵抗性品種の利用が効果的です。しかし、ウイルスは変異しやすく、抵抗性を打破する新系統が発生する場合があります。そのため、抵抗性遺伝子の機能を理解し、抵抗性品種の育成に利用していくことが重要です。私たちは、ジャガイモやコムギのウイルス抵抗性遺伝子について、ウイルスの各系統に対する有効性やウイルス抵抗性の作用機作などの基礎的な知見の集積を進めています。


図3 コムギ縞萎縮病(上)とウイルス媒介菌Polymyxa graminis(下)


図4 日本におけるコムギ縞萎縮ウイルス各系統の発生分布

参考文献 : Ohki T. et al. (2014) Phytopathology, 104, 313-319
Ohki T. et al. (2018) Plant Pathology, 67, 1629-1635