生物機能利用研究部門

遺伝子組換え農作物・食品ハンドブック

QI- 8 遺伝子組換え家畜はどのように作るのですか?

Answer1

遺伝子組換え家畜を作る手法は、受精卵に遺伝子を直接に注入する前核内注入法と、遺伝子改変した培養細胞を用いてクローンをつくる核移植法の2種類に大別できます。

前核内注入法

  • 受精卵の採取。ホルモン処置により排卵させ、人工授精した卵子を卵管より採取する。ウシでは、と場由来の卵巣から採取した卵子を基に、体外受精により受精卵を用意する。
  • 前核内へのDNA注入。マイクロマニピュレータに接続した微細ガラス管により、受精卵の核内にDNA溶液を注入する。
  • 胚移植。雌畜の卵管あるいは子宮に、DNAを注入した受精卵を移植する。自然またはホルモン処置により発情したメスに移植する。

核移植法

  • 培養細胞への遺伝子導入。培養細胞に、エレクトロポレーション(電気穿孔)法により遺伝子を導入する。
  • 遺伝子組換え細胞の選択。遺伝子が導入された細胞を薬剤により選択し、遺伝子解析をして遺伝子の導入を確認する。
  • 体外成熟卵子の作製。と場卵巣より採取した卵子を体外培養にて成熟させる。
  • 核移植。マイクロマニピュレータに接続した微細ガラス管を用い、体外成熟卵子の核を取り除く。除核した卵子に遺伝子組換えした細胞(核)を移植する。移植後、電気パルスにより卵子を活性化し、発生を開始させる。
  • 胚移植。発生した胚を前核内注入法と同様に、仮親に移植する。