生物機能利用研究部門

動物モデル・機能利用開発グループ

近年、医学研究用の実験動物としてのブタの需要が増大しています。ヒトの疾病を再現したモデルブタの要望も増加しており、遺伝子組換えやゲノム編集技術を用いた開発が進められています。また、省スペース、省コスト化のためにもミニブタ化の強い要望があります。農研機構では高脂血症ブタ、血友病ブタ、免疫不全ブタなどを共同研究により開発し、これらは診断法・治療法の研究 に用いられています。さらに再生医療研究での利用も見据えて免疫不全ブタの小型化を進めており、医療研究分野での利用促進を目指しています。
進展の著しいゲノム編集技術を活用してモデルブタ開発の効率化を進めていますが、同時に、生殖細胞・初期胚の新たな制御・保存・利用技術の開発により、ゲノム編集に必要な生体材料をいつでも利用できる体系の構築を進めています。
また、ブタにおいて自然免疫細胞の一種であるマクロファージから不死化細胞株を作出する手法を確立しました。これをモデル系として用いることにより豚の各種病原体の機能解析やワクチン開発の進展が期待されます。

それと並行して、生体関連物質や生物の特殊な機能に着目し、それらを高度に利活用する研究にも取り組んでいます。
ネムリユスリカの幼虫はカラカラに干からびても、再水和によって生命活動を取り戻すことができる機能を持った生物です。この特殊な分子メカニズムを明らかにするため、ゲノム概要解読を進め、ネムリユスリカ特有の遺伝子構造が明らかになりました。得られた知見の中から乾燥耐性たらしめる遺伝子を特定し、その因子を活用した生物試料(例えば食品用酵素や生ワクチン、家畜の卵細胞など)の新規の常温保存技術の開発を進めています。

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