農村工学研究部門

農村工学研究部門メールマガジン

メールマガジン第104号 (2018年11月号)

目次

1)トピックス
2)イベント情報
3)農村工学研究部門の動き
4)こんにちは農業農村
5)つれづれなるままに
6)農村の草花
7)研究者の横顔
8)編集後記

1)トピックス

■農研機構【プレスリリース】ICTを活用した圃場-水利施設連携による効率的な配水管理制御システムを開発

土地改良区等が管理するポンプ場から農家が管理する圃場の自動給水栓までをICTを活用して連携させ、水利用に応じた効率的な配水を行う水管理制御システムiDASアイダスを開発しました。

開発したシステムは、パイプラインによる水田灌漑かんがい地区の施設管理者の省力化、農業用水の節水、ポンプ電力の節減への貢献が期待されます。

 技術移転部 移転推進室広報プランナー 遠藤和子

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■農研機構【プレスリリース】水中で50年経過した遮水シートの耐久性を確認 - 実用環境下での曝露試験に基づく検証 -

農業用貯水池等に利用されている遮水シートの耐久性を、50年間にわたる実用環境下での曝露試験により明らかにしました

遮水シートの耐久性は、水中に存在していれば、初期値の約8割程度の性能を保持していることを実証しました。

このデータは、各種農業水利施設の維持・管理等に活用できます。

  技術移転部 移転推進室広報プランナー 遠藤和子

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■農林水産省【プレスリリース】平成30年7月豪雨等を踏まえた今後のため池対策の進め方について

平成30年7月豪雨により多くのため池が決壊し、防災重点ため池に指定されていない小規模なため池で、重大な被害が発生しました。これを踏まえ、農林水産省では農研機構や関係県等で構成した「平成30年7月豪雨を踏まえたため池対策検討チーム」を設置し、防災重点ため池の選定の考え方の見直し等について検討し、その結果をとりまとめ農林水産省のホームページで公表しました。

  企画管理部 災害対策調整室長 梶原義範

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■「簡易補助暗渠成形及び施工機(カットドレーン)の開発」が発明協会平成30年度北海道地方発明表彰で北海道経済産業局長賞を受賞

当研究部門農地基盤工学研究領域水田整備ユニットの北川上級研究員が「簡易補助暗渠成形及び施工機(カットドレーン)の開発」で発明協会平成30年度北海道地方発明表彰で北海道経済産業局長賞を受賞されました。

なお、この業績では、久間農研機構理事長も実施功労賞として併せて表彰されています。

本発明は、北川上級研究員と民間企業等との共同研究の成果です。

暗渠の利点である無資材、低工費、短工期、および本暗渠に近い排水効果と耐久性を有する画期的な穿孔暗渠方法を提案、施工機としてカットドレーンを開発したものです。

  技術移転部 移転推進室広報プランナー 遠藤和子

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2)イベント情報

■「~次世代技術が豊かで強靱な農業農村を創造する~ 平成30年度実用新技術講習会・技術相談会」を開催(報告)

11月5日、当研究部門では、東京大学弥生講堂一条ホールにおいて、「実用新技術講習会及び技術相談会」(後援:農林水産省)を開催しました。
当日は、現場の第一線で農業農村整備に携わる国及び地方公共団体職員、水土里ネット、各種団体、民間企業などから335名 (うち農研機構35名) にご参加頂きました。略儀ながら、メルマガ上において、参加頂いた皆様方にお礼を申し上げます。

プログラムは、小川茂男技術移転部長の主催者挨拶、安部伸治農林水産省農村振興局設計課長の挨拶、同局の市村和寿土地改良企画課総括補佐から「土地改良法改正と農業農村整備の展望」の講演、当研究部門の技術報告として、(1)「ICTを活用した圃場-土地改良施設連携型の水管理制御システム(iDAS)」(中矢哲郎上級研究員)、(2)「水田の水管理を遠隔・自動制御化する圃場水管理システムの動向」(坂田賢上級研究員)の2件の講演を行いました。

さらに、弥生講堂内において、ICTを活用した施設保全技術、調査・評価技術及び防災支援技術など、実用化が見込まれる新技術14テーマについて、各担当研究者が来場者の皆様に、直接対話によりご紹介するとともに(ポスターセッション)、農工研職員が現場課題の技術相談を承るなど、終了時刻間際まで多くの参加者が活発に情報交換を行いました。

 技術移転部 移転推進室長 中野明久

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■平成30年度NARO国際シンポジウム
「農村工学研究分野における水管理研究とその実用化に向けて」を開催(報告)

10月26日、茨城県つくば市のつくば国際会議場において、NARO国際シンポジウム「農村工学分野における水管理研究とその実用化に向けて」を開催しました。

本シンポジウムは、農業生産性の向上と安全安心な農村の実現のため、農村工学分野における水管理研究の更なる進展と研究成果の実用化に向けて知見や意見の交換を行うことを目的として、国内外から研究者を招へいして開催したものです。

シンポジウムには試験研究機関、大学、民間企業などから合計で117名の参加がありました。

 企画管理部 企画連携室行政連携調整役 森 充広

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■つくばサイエンスコラボ2018 科学と環境のフェスティバルに出展(報告)

当研究部門地域エネルギーユニットは、平成30年11月10日、11日つくばカピオ・大清水公園にて開催された「つくばサイエンスコラボ2018 / 科学と環境フェスティバル」に「農村のエネルギーに触れてみよう」と題して出展しました。

 地域資源工学研究領域 地域エネルギーユニット ユニット長 後藤眞宏
      上級研究員 福田浩二 上級研究員 中村真人 研究員 三木昂史

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■「第2回河北町を元気にする国立研究機関との連携フォーラム」を開催(報告)

11月11日に河北町立谷地中部小学校において「第2回河北町を元気にする国立研究機関との連携フォーラム」を河北町との共催で開催し、地元の多面的機能支払交付金活動組織や教育関係者らに参加いただきました。

 地域資源工学研究領域 資源評価ユニット上級研究員 唐崎卓也

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■印旛沼流域環境・体験フェアに出展(報告)

千葉県では印旛沼流域の健全な水環境再生に向けた啓発などを目的として、印旛沼流域環境・体験フェアを毎年開催しています。

今年も10月27-28日に印旛沼のほとりにある佐倉ふるさと広場を会場に第16回体験フェアが開催されました。農村工学研究部門からは農業環境変動研究センターと連携して対策にあたっている印旛沼流域に水路網を介して蔓延する特定外来種の水草ナガエツルノゲイトウに関する取り組みをパネルで紹介しました。

 水利工学研究領域 水域環境ユニット上級研究員 嶺田拓也

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3)農村工学研究部門の動き

■スマート農業の実証に関する相談窓口を開設

ロボット・AI・IoT等の先端技術を活用した「スマート農業」の社会実装を図るため、先端技術を生産から出荷まで体系的に組み立て、一貫した形で実証研究を行い、データの分析・解析を通じ、最適な技術体系を確立する取組を支援する目的で、農林水産省では「スマート農業加速化実証プロジェクト」を平成31年度予算に概算要求しています。

これを受けて、農研機構では、11月14日から下記のとおり「スマート農業の実証に関する相談窓口」を開設いたしました。本窓口では、実証プロジェクトに関連した情報提供、スマート農業技術に対する相談など、生産者(個人・団体)や企業等からのご相談に対応いたします。

(関連URL)

スマート農業加速化実証プロジェクト全般に関するお問い合わせは、農研機構本部 スマート農業実証事業準備室にお願いします。

農村工学研究部門で開発した技術に関するお問い合わせは、以下のメールアドレスにお願いします。

re-smart[@]ml.affrc.go.jp
※メールを送信する際は[ ]をはずして送信してください

 企画管理部 企画連携室行政連携調整役 森 充広

■第2回日タイかんがい排水技術交流会に参加(報告)

平成30年9月25日から27日の3日間の日程で、タイ王国で開催された「日タイかんがい排水技術交流会」に参加しましたので、その概要を報告します。

本交流会は、農林水産省農村振興局とタイ王室灌漑局との間で、かんがい排水に関する日本・タイ両国間の政策的、技術的な課題の解決を目的に行われております。

 農地基盤工学研究領域 畑整備ユニット長 宮本輝仁

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■PAWEES(国際水田・水環境学会)とINWEEPF(国際水田・水環境ネットワーク)合同会議(報告)

11月20日~22日に奈良春日野国際フォーラム 甍~I・RA・KA~(奈良県奈良市)で開催された「PAWEES-INWEP国際会議 奈良2018」に参加しましたので、その概要を報告します。

 水利工学研究領域 水域環境ユニット主任研究員 渡部恵司

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4)こんにちは農業農村

■ため池百選 山形県朝日町(馬神ため池と大谷の郷)

ため池百選とは、農業者の減少、高齢化の中で管理が難しくなりつつあるため池について、その歴史や多様な役割、保全の必要性を国民の皆様に理解いただく契機とするため、農業用の水源として秀でた特徴を有する全国のため池100地区を「ため池百選」として選定したものです。

このメルマガでは北から順番に紹介していますが、今回は山形県朝日町にある「馬神ため池と大谷の郷」を紹介します。

大谷の郷では、馬神ため池をはじめ、明治から昭和初期に造られた10個ほどのため池が約150haの水田を潤しています。

池は周辺の農地、里山や遠く朝日連峰、蔵王山と一体となって見事な景観を作っています。また、ニッコウキスゲ、ヒメサユリ、ツルウメモドキが自生し、周辺は山菜の宝庫であり、池にはメダカや蓮も生息・生育しています。
 (農林水産省ホームページより引用)

 企画管理部 企画連携室企画チーム 浜田善幸

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■自然豊かな農村工学研究部門 -地面にバラが咲いている-

この季節、部門内を歩いていると地面には茶色いバラが咲いています。小さくかわいいもののなかにかなり大きいものも落ちています。その正体は、シダーローズです。

 技術移転部 移転推進室 笹倉亜希子

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5)つれづれなるままに

■とあるおっさんの四方山話
 第11回 タイ東北地方の村のこと

前回、かつて経験したタイ東北部での暮らしについて書いてみた。今回は、そのとき通った村のことについて、思い出しながら書いてみることにします。

 「とあるおっさん」

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6)農村の草花

■この季節、道端でよく見かける熱帯からやってきた「ひっつきむし」 ~コセンダングサ~

晩秋から冬にかけては野辺を歩くといろいろな草の実が衣服にくっついてくる「ひっつきむし」の季節です。メルマガ第44号では水辺のひっつきむしであるアメリカセンダングサ( http://www.naro.affrc.go.jp/org/nkk/m/44/04-01.pdf )を取り上げましたが、道端には今回紹介するコセンダングサが多くみられます。このコセンダングサ、種内変異が大きく西日本の暖地を中心にさまざまなタイプが見られることを知っていますか。

 水利工学研究領域 水域環境ユニット上級研究員 嶺田拓也

(関連資料)

7)研究者の横顔

■鈴木 翔(すずき しょう)

水田整備ユニットの特別研究員、鈴木翔さんをご紹介します。鈴木さんはSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の特別研究員として、当ユニットで活躍している若手研究者です。この3年あまり、「スマホでらくらく 田んぼの水管理」のタイトルでYouTubeで紹介されている圃場水管理システムの開発に携わり、その現地実証試験のために文字通り全国を飛び回っています。しばらく前、ちょうど北海道出張中に北海道胆振東部地震に遭遇しましたが(被災された方々に心よりお見舞い申し上げます)、的確な対処で予定の日程で帰還しました。優しげな風貌とおだやかな物腰の内に秘めた、その冷静沈着な判断力と行動力に改めて驚かされた次第です。そんな鈴木さんの「横顔」を、どうぞお楽しみください。

 (他己紹介)友正達美

(自己紹介)

8)編集後記

■池にアオサギが飛来!

当研究部門の実験用水源貯水槽にアオサギがいました。とある契約職員の方から、「お昼休みに散歩してたら大きな鳥がいたので携帯で撮影した」との連絡がありました。写真をみたらなんとアオサギでした。まさかこんな場所にアオサギがいるのにはびっくりしました。

アオサギは、農村地域で普通に見られる鳥の中では最大級で、翼を広げた時の幅は160cmにもなります。水田や水路、河川などの水辺で、魚やカエルといった小動物を捕まえたり、休憩したりする姿をよく見かけます。人が近づくと飛び立ってしまうことも多く、警戒心が比較的強いようです。

(関連資料)

 とあるおじさん

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