1. 野菜・花き作導入による高収益生産技術の確立
- 沖縄に適したイチゴ品種及び苗の特性解明
沖縄での冬季のイチゴ生産に適する品種を選定し、その生産に不可欠な増殖のための苗の特性を解明する。さちのか、とよのかの他、久留米での育成系統を含めて現地適応性を検討し、有望品種について、二段育苗法など効率的な増殖法の導入を図る。 - 沖縄に適したイチゴの短期栽培技術の確立
沖縄のイチゴ生産に適すると考えられる1~3月収穫を目指して、育苗技術および短日夜冷処理などによる安定した花芽分化技術を検討する。 - 沖縄における種なしスイカの生産技術の確立
花粉への軟X線照射による新しい種なしスイカの生産技術を沖縄に導入するための適品種、適作型を検討する。 - 花きの高収益安定生産技術の確立
花きの開花制御技術を検討する。- カーネーションの一斉開花技術
沖縄への新規花卉作目の導入を図るため、仕立て法や電照などによる開花制御技術を検討し、需要の大きい母の日出荷をめざした一斉開花技術を確立する。 - シンテッポウユリの早期開花技術
通常開花期は8、9月であるが、沖縄の冬季温暖な気候を利用して6月以前に出荷できる早期作型の開発するために、発芽促進技術、育苗技術、温度処理による開花制御技術を検討する。 - ユーチャリスの開花制御技術
通常開花期は1、2月であるが、需要の大きい10~11月および4~5月を採花目標とする株養成技術、温度処理による開花制御技術を検討する。
- カーネーションの一斉開花技術
- 現地導入野菜・花きの生産安定化技術の確立
農家ほ場での安定的、高収益なイチゴ生産を可能にするため、花芽の自然分化苗と人為的な分化促成苗の組み合わせを検討する。 - 生産安定のための病害虫防除技術の確立
イチゴを中心に新たに導入をめざす野菜・花きの病害虫防除技術を確立するために、主要病害虫の発生消長、耕種的および薬剤による防除法を検討する。
2. 野菜・花き導入のための栽培環境改善技術の確立
- 有機物施用による土壌物理性改善技術
野菜・花き導入の基盤となるマージ土壌の理化学性改善をめざし、有機物施用が土壌の硬化に及ぼす影響を解明し、適正な有機物の施用方法を検討する。 - 土壌破砕耕による土壌膨軟化技術
野菜・花き導入の基盤となるマージ土壌の物理性改善をめざし、トラクターで牽引できる土壌破砕刃の改良と土壌の膨軟性、排水性に及ぼす効果を検討する。 - 土壌及び水分の適正管理技術
マージ土壌条件下での持続的生産のための土壌保全技術を確立するために、牧草によるほ場からの表土流出を軽減することをめざして適切な草種選定、播種密度、植生による保護効果の大きさ等を検討する。 - サトウキビ栽培での窒素節減技術
側枝苗の利用を前提として、緩効性肥料の利用、施肥量、施肥時期、サトウキビへの利用効率等を検討し、施肥窒素による環境負荷軽減を図る。
第2章 新規野菜・花き導入による高収益営農技術体系の構築
1. 高収益複合栽培技術体系の確立
沖縄地域の基幹作物であるサトウキビを軸に、野菜、花き等高収益作物と緑肥作物であるクロタラリア導入に土壌管理技術を組み合わせて、持続生産型の高収益複合営農体系を実証、確立する。
2. 導入技術の定着条件と高収益集約作物の流通システムの構築
- 開発技術の定着条件の解明及び支援方策の策定
開発技術の定着のために沖縄県に適した農地集積システムを明らかにするとともに、高収益経営成立のための行政や農業団体による支援方策を策定する。 - 高収益集約作物の流通システムの策定
新規作目となるイチゴを取り上げ、生産規模に応じた効率的な流通システムを策定する。