生物機能利用研究部門

遺伝子組換え農作物・食品ハンドブック

QVIII- 4 メキシコにおいて在来トウモロコシから遺伝子組換えトウモロコシの遺伝子が発見されたということですが、事実関係を教えてください。

Answer1

2001年(平成13年)に、トウモロコシの原産地とされるメキシコ南部のオアハカ州で、トウモロコシの在来種から遺伝子組換えトウモロコシの導入遺伝子が発見されたとの研究論文が発表されました(Quist and Chapela, 2001, Nature , 414, 541-543)。しかし、この論文の実験手法、実験結果の解釈や考察について様々な議論がなされ、本論文を掲載した科学誌(Nature)が、『この研究結果には発表に値する十分な証拠がなかった』との短評を2002年(平成14年)に発表しました(Metz and Futterer, 2002, Nature , 416, 600-601;Kaplinsky et al ., 2002, Nature, 416, 601)。

Answer2

その後、2005年(平成17年)8月に、2003~2004年(平成15~16年)にかけてオアハカ州の125の畑で採取された153,000粒のトウモロコシを調査したところ、導入遺伝子は発見されなかったとの報告が なされています(Ortiz-Garcia et al ., 2005, Proc. Natl. Acad. Sci.USA , 102, 12338-12343)。

Answer3

2009年にカリフォルニア大学のDyerは花粉飛散による交雑ではなく、米国から輸入された栽培用の遺伝子組換えトウモロコシが栽培されたか、穀物として輸入されたトウモロコシが栽培に用いられた可能 性を報告しています。(Dyer et al .( 2009)PLoS One, 4(5):1-9)