野菜花き研究部門

黒色

野生の花の中にはクロユリ(図41b)のように、黒色(に近い)の花色を持つ植物があります。園芸品種の中にも、カーネーション(図42)やバラ、ビオラ(図43)、チューリップ、ダリア、タチアオイなどには黒花の品種があります。

図41b クロユリ
図42 褐色花カーネーション品種「ブラックバッカラ」
図43 黒花ビオラ品種「ブラックオパール」
図44 オキナグサ

黒色花に含まれる色素

黒い花弁には黒い色素が含まれているわけではありません。黒い色調は赤~青紫のアントシアニンや黄色のカロテノイド、緑のクロロフィルの組み合わせにより生まれます。黒い花弁にはこれらの色素(特にアントシアニン)が多量に含まれているため光がほとんど吸収されてしまい、人間の目には黒く映ります。

カーネーション(図42)、ビオラ(図43)やチューリップの黒花品種やクロユリ(図41b)はアントシアニンが多量に蓄積して黒色を発色しています。アントシアニンのなかでも、デルフィニジン(青系)やシアニジン(赤系)が多量に貯まると黒味が増す傾向があります。

ラン(パフィオペディラム)の黒花品種ではクロロフィルとカロテノイド、アントシアニンの組み合わせにより、パンジーの黒斑はアントシアニンとカロテノイドの組み合わせにより黒色を発色しています。

黒色発現には表皮の構造も重要

図45 (左)黒い花弁 (右)赤い花弁

色素だけではなく、花弁の表面の構造が色調に影響を与えている場合もあります。バラの黒色品種と赤色品種では花弁の表皮細胞の構造が異なり、黒い花弁では赤い花弁よりも細胞が細長い傾向にあります。そのため、黒い花弁では表皮細胞に光が当たったときに陰影が濃くなり、黒味が増すと考えられています(図45)