東北農業研究センター

温度勾配実験施設

温度勾配実験施設の外観

温度勾配チャンバーや人工気象室が集まる実験施設で、冷害や高温障害、温暖化の研究や平地と山間部の温度差に伴う作物反応の違いの解析などに有効に利用できます。

自然光施設 温度勾配チャンバー水温勾配水田

人工光施設 低温型人工気象室強光型人工気象室

見取り図

温度勾配チャンバー

細長い温室の長辺方向に換気すると、入り口から出口にかけて、気温が次第に上昇します。この原理と換気・暖房装置の制御により、昼夜を問わず安定的に6~7℃の出入り口気温差を維持します。さらに、入口 (前室) において流入する外気を冷却あるいは加熱することにより、連続的に変化する幅広い温度域で作物の反応を観察できます。また、2棟のCO2濃度を外気+200ppmに設定することもできます。これだけの制御機能を持つ施設は世界初です。

主な仕様

内部の様子

棟数: 4

栽培室の大きさ: 間口 6 m × 奥行き 24 m (実利用空間: 3.5 m × 23 m)

前室気温制御範囲: 冷房時は外気温追随 (最大冷却能力: 外気温 -10℃)、 暖房時は制御可能範囲内で定温制御 (最大加熱能力: 外気温 +10℃)

出入口気温差制御範囲: 5~10℃

CO2濃度制御: 外気濃度 +200ppm

温度反応の解析例グラフ

水温勾配水田

井戸水をかけ流して水温勾配を作る水田が温室に設置されています。夏期には給水側で19℃、排水側で22℃程度の水温となり、イネの耐冷性検定や湿地性作物の根圏温度反応の解析に有効です。

主な仕様

装置の写真

水田: 24 m × 1.5 m × 2列

土壌厚: 40 cm (有底)

最大給水能力: 毎分60リットル/列

水深: 最大 20 cm

低温型人工気象室

強光下で低温状態を作れる人工気象室です。光の波長が自然光に近いという特徴があります。1日を最大192の時間帯に分けて、気温、湿度、光強度 (4段階) を設定できます。

主な仕様

装置の写真

室数: 6

栽培室の大きさ: 長さ 2.45 m、奥行き 1.36 m、高さ 2 m

気温制御範囲: 5~35℃

光源: 蛍光灯、ハロゲンランプ

最大照度: 55,000ルックス

最大光量子束密度: 500 μmol m-2 s-1

強光型人工気象室

特に強光の大型人工気象室です。床面から天井まで約2.4 m の高さがあるため、出穂後のイネなど草丈の比較的高い植物でも問題なく栽培することができます。

主な仕様

装置の写真

室数: 3

栽培室の大きさ: 長さ 2.4 m、奥行き 2.4 m、高さ 2.4 m

気温制御範囲: 20~35℃

光源: メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプ

最大照度: 90,000ルックス

最大光量子束密度: 900 μmol m-2 s-1