東北農業研究センター

おいしい減農薬米が作りやすい品種 ちゅらひかり

おいしい減農薬米が作りやすい品種
ちゅらひかり

東北農業研究センターで育成した品種が沖縄で奨励品種に採用されました。
"ちゅら"は沖縄の方言で「美しい」という意味です。

ちゅらひかりのイメージ写真

はじめに

現在普及している「コシヒカリ」、「ひとめぼれ」、「あきたこまち」などの良食味品種の多くは、いもち病に対する抵抗力が強くなく、栽培には農薬による防除が不可欠です。一方で、消費者の減農薬に対するニーズが高まっていますが、これに答えるため、生産者がいもち病に弱い品種を手間をかけて減農薬栽培をするケースが増えています。そこで、減農薬栽培を普及するためにいもち病に強く、「ひとめぼれ」に匹敵する良食味品種を目標に、食味が良い「ひとめぼれ」といもち病に強い「奥羽338号」を交配して、その後代より「ちゅらひかり」を育成しました。

特徴1

無防除栽培でもよく獲れるので、安全・安心なお米を作りやすい品種です。いもち病は、イネの病気の中で、もっとも恐ろしい病気の一つです。「ちゅらひかり」はいもち病に対する抵抗力がとても強く、無防除栽培でも、たくさん収穫することができます。右の図は、無防除栽培をしたときに、「ちゅらひかり」が、「ひとめぼれ」よりも約90kg多くお米を収穫できたことを示しています。
ちゅらひかり、ひとめぼれ、東北IL2号の精玄米収量比較グラフ
東北IL2号:ササニシキの同質遺伝子系統(Pia,Piiをもつ)
葉防除:葉いもちのみ1回防除、穂防除:穂いもちのみ
2回防除、葉・穂防除:葉いもち1回、穂いもち2回防除。

特徴2

玄米の写真炊飯米の食味は「ひとめぼれ」と同等に優れています。「ちゅらひかり」の炊飯米の食味は、「ひとめぼれ」と同じくらいにおいしく、日本のイネ品種の中でもトップレベルにあります。また品質もすぐれています。「ちゅらひかり」の誕生により、おいしい減農薬米が作りやすくなりました。

「ちゅらひかり」の特性(秋田県大曲市1996-2002年の平均値)
品種名出穂期成熟期稈長
(cm)
穂長
(cm)
穂数
(本/㎡)
倒伏
(0-5)
玄米収量
(kg/10a)
玄米千粒重
(g)
ちゅらひかり 8月10日 9月21日 80 19.2 390 0.6 602 23.2
ひとめぼれ 8月9日 9月18日 84 19.2 402 1.6 582 23.3
はえぬき 8月9日 9月20日 75 18.7 380 0.1 553 22.6

栽培上の注意

  • 倒伏には強いですが、多収をねらって多肥栽培を行うと食味の低下をまねく可能性があります。施肥量は適量にとどめ、良食味、良質米づくりを心がけてください。
  • 穂発芽性が"中"ですので、刈り遅れには十分に注意してください。