2002年は日本海側特に青森県・秋田県で稲こうじ病の発生が多く報告され、病籾の混在による等級低下が指摘されています。
気象条件としては、日照不足で降雨が多く、登熟が遅れ、これが本病の発生に大きく影響したと考えています。
1. イネ稲こうじ病の発生原理について
発生生態については、実際にはよくわかっておらず、推定になりますが、前年に発病した籾上の厚膜胞子が圃場に落下後越冬し、翌年代掻きとともに浮上し、厚膜胞子が発芽して分生胞子を形成し、これが飛散して穂に感染すると考えられています。菌核も伝染源の可能性がありますが、全く形成がみられない年もあり重要度は低いと考えられています。
種子伝染の可能性もありますが、まだ十分な研究蓄積がありません。
2. 予測について
ⅰ気象条件からみて
出穂前10日から2週間に降雨が多いと発病が多くなる傾向がありますが、そうでない年もあります。
ⅱ品種について
出穂期が遅い品種の方が発生が多い傾向があります。同じ品種でも出穂期が遅くなった場合発生が多くなる傾向があります。
ⅲ伝染源について
原因の多くは土壌伝染と考えられます。前年に圃場に落下した厚膜胞子や菌核が伝染源になると考えられています。
ⅳ施肥条件について
多肥で多い傾向があります。これには栄養生長期間が長くなり、出穂が遅れるということも関与していると考えられます。
3. 越冬について
越冬は、病籾から圃場に落下した厚膜胞子と菌核と考えられていますが、その関与度は、厚膜胞子が高いと考えられています。