ポイント
農研機構は、イネ害虫のツマグロヨコバイの唾液から、イネの食害に必要不可欠なタンパク質「NcSP75(エヌシーエスピーななじゅうご)」を発見しました。このタンパク質の発現を抑えると、ツマグロヨコバイはイネの液汁(篩管液1)等)を吸うことができなくなり、成長が阻害されるとともに、産卵数が減少しました。このタンパク質の働きを阻害することができれば、イネを害虫の食害から守る技術として活用できます。
概要

農研機構は、この虫の唾液に含まれるタンパク質を網羅的に解析し、イネを吸汁するために必要不可欠なタンパク質を発見しました。このタンパク質をコードする遺伝子(NcSP75)の働きを抑えると、ツマグロヨコバイはイネからうまく液汁を吸うことができず、幼虫の場合はほとんど成虫になれずに死亡し、メス成虫の場合は産卵数が約1/9に減少しました。この遺伝子の働きを抑えても、人工的に作った栄養液は吸うことができるので、NcSP75タンパク質はイネの液汁を吸うために必要であると考えられました。
これまでに、NcSP75タンパク質はこの害虫からしか見つかっていません。そのため、NcSP75タンパク質の作用を選択的に阻害することができれば、他の有益な昆虫等に影響しない新しい害虫防除技術の開発につながります。
関連情報
予算:JSPS科研費JP17K07685、運営費交付金
問い合わせ先など |
研究推進責任者 : 農研機構 生物機能利用研究部門 研究部門長 朝岡 潔 |