
温暖化に対応した新規作物として期待される亜熱帯果樹(左:アボカド、右:パッションフルーツ)
果樹は、気候への適応性が狭く、青森のリンゴ、愛媛のウンシュウミカンなど、地域によって生産に好適な樹種が限られています。その中で、気候が変動すると、その影響は顕著であり、様々な高温障害発生が顕在化しています。加えて、一度、栽植されると数十年間同じ樹で生産を継続することから、将来の影響評価は、生産者にとって現時点で栽植すべき樹種・品種を選択する上で必要な情報となっています。
園地環境ユニットでは、カンキツ、ビワ等の常緑果樹やブドウ、リンゴ等の落葉果樹において、高温による影響を評価するモデルを開発するともに、シミュレーションによって、国内生産への影響を推定し、その結果をわかりやすく図示する地図の開発をしています。これは、それぞれの地域において、将来にわたって問題なく栽培可能な樹種が示されるため、温暖化を考慮した栽植・生産計画の設定に役立ちます。
また、温暖化に対する適応策として、落葉果樹に対する気温上昇の影響を考慮した施肥管理を検討するなど、果樹園の気象や土壌に関する種々の研究をしています。
一方、温暖化の利用の観点や、温暖化が進行してウンシュウミカンの栽培が困難になった地域の代替作物として、亜熱帯果樹の導入に産地からの期待が寄せられていますが、新規の作物であり、普及のためには、まず栽培可能な条件を解明する必要があります。そのため、パッションフルーツ等の亜熱帯果樹の越冬条件や生産に好適な土壌条件を解明するなど、亜熱帯果樹の適地性を研究しています。