
図 2種類の遺伝子導入によるキク花弁の青色化
遺伝子制御ユニットでは、遺伝子組換え技術などの分子育種手法を活用し、消費者ニーズに対応した品種・系統の育成に取り組んでいます。特に「青いキク」の実用化を目指した取り組みを進めています。今までにない新花色の作出は花き育種において最も重要な目標の一つです。キクは日本の切り花生産本数の約4割を占める産業上重要な花き品目ですが、青系の花色がありません。そのため、「青いキク」が実用化できれば、キクの消費場面を多様化し新たな需要を喚起することが期待されています。農研機構では10年以上前から「青いキク」の開発に取り組んでおり、キクに他の植物種由来の遺伝子を導入することで、花色をあざやかな青色に改変することに成功しています。この遺伝子組換えにより作出した「青いキク」を、近縁野生種が自生している日本国内で実用化するため、交雑による生物多様性影響リスクを低減させるために不稔化した「青いキク」の開発を現在進めています。さらに、当ユニットでは、ゲノム編集技術やウイルスベクター技術などの新育種手法の花きへの適用技術の開発にも取り組んでいます。これらの取り組みを通じて今までにない花きを創出し、社会に貢献したいと考えています。