プレスリリース
(お知らせ) 農研機構とフランス国立農業・食料環境研究所(INRAE)が主導する植物フェノタイピングに関する国際研究ネットワーク設立

情報公開日:2025年10月 6日 (月曜日)

農研機
INRAE

ポイント

  • 農研機構とINRAEが発起人となり、日、仏、蘭、独の4か国5機関が参画する植物フェノタイピング技術に関する国際研究ネットワークRhizoNETを立ち上げます。
  • 今後、参画する各研究機関の強みを活かして気候変動に対応した作物開発を加速させる予定です。

概要

農研機構(理事長:久間和生)とフランス共和国のNational Research Institute for Agriculture, Food and the Environment (INRAE)(理事長:フィリップ・モーガン)は、2016年に包括的連携協定 (MOU) を締結後2018年より本格的な連携を開始し、Joint Linkage Call(JLC)1)を通じて研究者のアイデアを共同研究につなげてきました。特に「植物フェノタイピング技術2)」と「農業ロボティクス技術」の分野については研究協力合意書を締結して連携を強化しており、また昨年からは発酵分野における連携も開始しています。JLCで始めた研究は、国際的なエビデンスの収集と提供3)成果の社会実装4)世界的な研究ネットワーク設立5)相互連携ラボの設置6)等に発展しています。

このたび、JLCで実施してきた植物フェノタイピングの研究を発展させ、日、仏、蘭、独の4か国5機関が参画する国際研究ネットワークRhizoNET7)を立ち上げることとし、2025年10月6日に農研機構 久間理事長とINRAEフィリップ・モーガン理事長との間で署名式を行いました。RhizoNETはINRAEの2RI8)のスキームを使って設立するもので、INRAEおよび農研機構に加え、フランス国立農業・食品・環境高等教育研究機構、オランダワーゲニンゲン大学研究センター、ドイツライプニッツ研究所が参画します。今回の署名式はネットワーク設立の発起人であるINRAEと農研機構が、他機関に先立って署名を交わすものです。

JLCで農研機構とINRAEの研究者が互いに開発してきたハイスループットな根の表現型解析システムを用い、各研究機関の強みを活かして気候変動に対応した作物開発を加速させるグローバルなネットワークとして今後の発展が期待されます。

INRAEと農研機構が発起人となり、国際研究ネットワークRhizoNETを設立

用語の解説

Joint Linkage Call(JLC)
INRAEのスキームで、若手研究者を中心に研究パートナーシップ醸成を図る相互研究プログラム。農研機構とは、2018年からのべ37課題を実施。 [概要へ戻る]
フェノタイピング技術
植物や動物の形態、構造、機能、生理的特性などの観察可能な特徴や性質である表現型(phenotype)を測定・評価する技術。この技術の改良により、遺伝子と形質の関係を明らかにしたり、育種や改良のための有用な形質を特定したり、環境応答やストレス耐性を評価することが容易になる。 [概要へ戻る]
国際的なエビデンスの収集と提供
気候変動に伴う作物減収リスクや適応の限界に関するエビデンスを収集し、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に提供。IPCCの第6次第2作業部会評価報告書に掲載(2022年)。 [概要へ戻る]
成果の社会実装
牛の繁殖性向上のため、受精卵の受胎性を判別できるウシ精子用DNA解析ツールを世界に向けて販売開始(2025年) [概要へ戻る]
世界的な研究ネットワーク
INRAEの2RIのスキームを使い、植物-昆虫-共生微生物相互作用に関する研究ネットワーク「PISI-NET」(Plant-Insect-Symbiont Interaction NETwork)を設立(2022年) [概要へ戻る]
相互連携ラボの設置
INRAEの持つ研究所間の国際連携のスキーム「International Associated Laboratory」を活用し、農業ロボティクスに関する連携ラボ「TREASUR」(Toward Resilient and Efficient Agricultural Systems Using Robotics)を設置(2024年)。土壌など多様な環境へのロボット農機の適応性やその運用技術の向上に向けた研究に着手。 [概要へ戻る]
RhizoNET
植物の表現型を分析して作物開発につなげる植物フェノタイピングの研究のうち、根を中心とした研究を発展させた国際ネットワーク。参画する5機関のうち、発起人であるINRAEと農研機構が他機関に先立って今回署名を交わした。"rhizo"は根を意味する接頭辞。 [概要へ戻る]
2RI
INRAEが主導する国際研究ネットワークのスキーム。フランス語の「Réseau de Recherche International(国際研究ネットワーク)」の略称。特定のテーマに焦点を当てて構築される。 [概要へ戻る]
問い合わせ先
研究推進責任者 :
農研機構 作物研究部門 所長石本 政男
研究担当者 :
同 作物デザイン研究領域 グループ長宇賀 優作
広報担当者 :
同 本部広報部広報課粕谷・笹村