ミカンの機能性研究 ミカンの生活習慣予防効果を明らかにし、生鮮物では初めてとなる機能性表示食品として登録されました。
日本人にとって昔から最も馴染み深い果物といえば温州ミカンですが、以前のように冬場は炬燵にミカンという光景があまり見られなくなってきました。ミカンの生産量も最盛期だった70年代に比べると5分の1ほどまでに減少しています。「ミカンが色づくと医者が青くなる」という諺がありますが、ミカンにはビタミンCが豊富で、昔から風邪の予防にいいと云われてきました。ミカンが橙色に色づくのはβ-クリプトキサンチンというカロテノイド色素によるものですが、たくさん食べると手が黄色くなるのはこの色素が皮下脂肪に溜まりやすいためです。近年、このβ-クリプトキサンチンの機能性研究が盛んに行われるようになり、様々な生理機能が次々と明らかにされつつあります。当ユニットでは、ミカンがどのような健康効果を有するのかを明らかにするために、ミカン産地の住民約千人を対象にした栄養疫学調査(三ヶ日町研究)、色々な疾患モデル動物を用いた基礎的なメカニズム研究、更にはヒトを対象にした介入研究など様々な機能性解明に関する研究を大学等と共同研究を行っています。また最近では、全国の生産者団体や食品メーカーと共同でβ-クリプトキサンチンを高含有した機能性飲料を開発したりしていいます。
また、新鮮な果実の食味成分変化の網羅的解析や遺伝子発現解析等に基づき、品質の保持・向上に関する機構解明や制御技術の開発を行っています。温州ミカンの貯蔵温度は、腐敗の少なさ等の観点から、従来は3~5°Cが最適とされていました。しかし、収穫直後と貯蔵後の果実成分を分析してみると、 5°Cではオルニチンなどのアミノ酸が急増して、低温障害のような異常代謝が起こりますが、それより温度の高い10°Cではそのような異常代謝が見られません。温州ミカン果実の風味や食味を上手に維持する最適温度は、5°Cより高く10°C以下の温度帯にあるようです。
更には、国産果実の消費を拡大するため、美味しく食べやすい果実加工品や果実に含まれる機能性成分を活かした加工品などの開発を目指した基盤的研究を推進しています。特に、酵素を利用して果実を剥皮する技術は、食感などに優れた付加価値の高い加工品を作出し得るものとして注目されていることから、様々な果実で利用できるよう改良を進めています。