
地力回復と土壌流亡防止を目的とした牧草など被覆植物の選抜試験 。草種、播種時期、刈取時期・頻度の組合せから、現地に推奨できる省力的な農地管理が可能な体系を探索している (福島拠点場内圃場)。
東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故から5年が経過し、より長期的な研究対応が求められています。除染事業が進み、避難指示の解除により、住民の帰還が始まっています。除染が終了しても、ただちに農業者が帰還し、営農再開できる状況ではありません。地力の低下した農地の生産性の回復、帰還した少数の農業者による生産基盤の維持管理、新たな栽培品目とその販路の開拓など、被災地域での農業を主体とした生活と産業の再編にはまだ長い時間を要します。事故から数年以上、農業生産活動が停止していた区域での営農再開にあたっては、さまざまな解決すべき技術的,社会的課題を抱えています。
営農再開グループでは、帰還予定の農業者が主体となった新たな地域農業構造を見込みつつ、本格的な農業再開までの省力的な除染後農地維持手法、地域レベルでの獣害対策の確立など、被災地域での除染後の営農再開に向け、多様な分野で技術開発を行っています。
主な研究内容
- 避難指示区域における地域農業再編に向けた就業構造と農家動向の調査
- 除染後農地の雑草対策や傾斜農地での土壌流亡対策など、営農再開後の耕地利用に向けた省力的管理技術の実証
- 畦畔草のえさ利用再開にむけた実態調査と管理技術の開発
- 避難指示区域における獣害の長期広域モニタリングと営農再開農地に適した野生動物進入防止柵の開発
- 作物収穫残渣、木質チップ、乾式メタン発酵原料など地域バイオマスを有効活用したエネルギー・資源循環型営農技術の開発と実証