作物研究所

麦栽培マニュアル

スカイゴールデン

主要特性

1.大麦縞萎縮病ウイルスI~III型系統およびうどんこ病に抵抗性である。
2.大粒で整粒歩合が高い。
3.麦芽品質が総じて優れる。

スカイゴールデン

作業工程

追肥は厳禁 葉色で判断は禁物

2月14日撮影、左からあまぎ二条、スカイゴールデン、ミカモゴールデン

写真.左からあまぎ二条、スカイゴールデン、ミカモゴールデン

スカイゴールデンは、冬期間に葉色が淡くなる特性を有するが(写真)、茎立期にはどの肥料水準でもあまぎ二条並に葉色は回復するため肥切れと間違って追肥を行わないよう注意が必要。追肥は子実の粗蛋白質含量を高くし、ビール醸造用品質を悪くするので厳禁。

施肥と茎立期の葉色

赤かび病防除の徹底

栃木分場 平成9年~12年産
0:無 1:微 2:少 3:中 4:多 5:甚
スカイゴールデンの赤かび病抵抗性は既存品種と同等。出穂期から穂揃期にかけて薬剤散布による防除。

品種ごとの赤かび病発生程度

適正な粗蛋白質量(10~11%)を目指した施肥管理 

 (栃木、茨城、群馬県 平成11年産)
:スカイゴールデン :あまぎ二条 :ミカモゴールデン
スカイゴールデンは粗蛋白質含量が他の品種より高くなり易いので、窒素施肥量は控えめにすることが必要。施肥量はあまぎ二条並(ドリル播で5.5kg/10a)。

北関東における粗蛋白含有量

大豆後は現肥

(栃木分場 平成10、12年産)
大豆跡は水稲跡より子実の粗蛋白質含量が高くなるので施肥量は水稲跡の5割以下。特に肥沃地での窒素施用が厳禁。

前作と粗蛋白含有量の関係

適期収穫の徹底

ビール麦に求められている高い発芽勢(98%)を確保するためには適期収穫が最も重要。収穫適期はおおよそ成熟期の3~5日後(穀粒水分25%以下)で、穂首の曲がった穂が全体の8割に達した頃が目安。穀皮が薄いので、剥離を防ぐため、収穫時のコンバイン回転数は試し刈りにより決め、調整は丁寧に行うことが必要。

写真

スカイゴールデンの特性(栃木市)

品種名 縞萎縮病 うどんこ病 成熟期 整粒重
(kg/10a)
整粒歩合
(%)
千粒重
(g)
I型 III型
スカイゴールデン 極強 極強 極強 5月30日 402 92.1 41.8
あまぎ二条 6月1日 375 88.3 38.5
ミカモゴールデン 極強 5月30日 344 83.3 37.5

スカイゴールデンの麦芽品質(栃木市)

品種名 麦芽エキス
(%)
麦芽全窒素
(%)
可溶性窒素
(%)
ジアスターゼ力
(WK/TN)
スカイゴールデン 84.9 1.62 0.82 247
あまぎ二条 83.1 1.46 0.74 204
ミカモゴールデン 83.6 1.63 0.74 221

スカイゴールデンの栽培適地

成熟期、収量からみて、栽培適地は北関東、近畿、山陽、四国地域である。特に縞萎縮病III型ををはじめ縞萎縮病発生地域での栽培に適している。

スカイゴールデンの栽培適地

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