品種詳細

おぜの紅

「おぜの紅」は、8月下旬~9月上旬に成熟する、果皮の着色性に優れる早生品種です。果実は大玉で玉揃いが良く、良品の安定生産が可能です。糖度と酸度のバランスが良く、香りも良好で、食味が優れます。日持ちは室温下で約10日程度です。同時期に成熟する「つがる」に比べて、着色が良好で、糖度、酸度とも高いため味が濃厚で、日持ち性にも優れます。また、「さんさ」に比較して良品の収量が多く、外観が良好です。

主要特性

  • 樹勢は強く、中間型の樹姿で(表1)、枝梢はやや太く、短果枝の着生が良好です。
  • 8月下旬から9月上旬に成熟する早生品種で(表1、2)、収穫前落果は少なく、玉揃いが良好です。また、果面障害の発生が少なく、裂果もほとんどありません。
  • 果重はM.26台樹では300~400g程度、大きさは「つがる」と同程度です。果皮は濃赤茶、縞は不明瞭で着色性に優れ、外観は良好ですが、スカーフスキンが発生します。
  • さびの発生はほとんどなく、果汁は中~多です。果肉はやや粗く、硬さは中程度です(表2)。食味は甘酸適和、渋みは少なく、香りは良好な品種です。蜜入りはなく、心かびの発生は認められていません。
  • 日持ちは室温下で約10日で、「つがる」と比較すると、着色、外観や日持ち性に優れています(表3)。
表1.「おぜの紅」及び「つがる」の生育特性(2007年)表2.「おぜの紅(仮称)」及び「つがる」の果実特性(2004~2007年)
表3.「おぜの紅(仮称)」及び「つがる」の室温貯蔵(24~26°C)下での日持ち性(2007年)


果実


果実

 


結実状況


結実状況

出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
21430
(2007年9月 5日)
2007年12月21日 17323
(2009年2月 6日)
30年
(満了日:2039年2月 6日)
交配組み合わせ 旧系統名
「盛岡47号」の自然交雑実生(群馬県との共同出願) 47-5

栽培適地

「おぜの紅」は、群馬県と果樹研との共同研究による成果であり、群馬県と果樹研との共同研究契約における優先実施権に基づいて、当面は群馬県内に限定して普及を図る予定です。

育成担当者

群馬県(堀込充 、中條忠久) 、農研機構果樹研究所(阿部和幸 、岩波宏 、古藤田信博 、森谷茂樹 )

発表論文

群馬県農業技術センター研究報告7号, p.45-50(2010-03):リンゴ新品種「おぜの紅j の育成