品種詳細

こうたろう

「こうたろう」は、生食・加工兼用種として優れている「はつあき」と主要経済品種である「ふじ」とを交雑した中生品種です。果実品質が優れ、生産力が高いリンゴ品種です。

主要特性

  • 樹勢は強く、樹姿は開張性を呈します。短果枝の着生が多く、腋花芽の着生も多い品種です。「ぐんま名月」、「秋映」、「新世界」とは交雑不和合ですが、それらを除く一般栽培品種とは高い交雑和合を示します(表3)。早期落果及び収穫前落果は少なく、比較的豊産性です。主要病害の中で、斑点落葉病には抵抗性、黒星病に対しては罹病性です。
  • 盛岡における成熟期は10月下旬で、「ジョナゴールド」とほぼ同時期です。大きさは通常250g前後で、「ふじ」よりやや小さく、果形は円、果皮色は濃赤で美麗ですが、スカーフが発生しやすいです。果面にさびの発生はありませんが、年により梗あ部に小さな裂果が生じる場合があります。糖度(Brix)は14~15%でやや高く、酸度は0.4%前後を示し、甘酸適和で芳香を有し、食味は優れています。日持ち性は「ふじ」より劣りますが、貯蔵可能期間は冷蔵で80日前後です(表1)。
  • 地帯別特性調査結果をみると、成熟期は長野で10月中旬、東北北部で10月中下旬、北海道で11月上旬です。果実の大きさは183~326gで、着色が優れ、多くの場所で外観良好と評価されました。糖度は13~15%、酸度は0.3~0.4%l前後で芳香があり、食味良好と評価する場所が多いです。一方、果梗部に小さな裂果が生じる場合があることと、やや小玉であることなどが欠点として指摘されています。生産力は「中~高」と評価する場所が多く、比較的豊産性を有すると思われます (表2)。

koutarou.png
結実状況


出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
10857
(1998年4月 9日)
1999年3月18日 9403
(2001年10月18日)
25年
(満了日:2026年10月18日)
交配組み合わせ 旧系統名
ふじ×はつあき リンゴ盛岡56号

栽培適地

リンゴの主要生産地帯

農林認定品種

登録番号 :りんご農林16号
登録年月日:1998年8月21日

育成担当者

副島淳一、別所英男、吉田義雄、羽生田忠敬、増田哲男、小森貞男、土屋七郎、伊藤祐司、眞田哲朗、阿部和幸、古藤田信博、樫村芳記、加藤秀憲

発表論文

果樹研究所研究報告14号, p.11-23(2012-09): リンゴ新品種'こうたろう'