先輩インタビュー

研究職 (試験区分:農業科学)

2022年度採用

果樹茶業研究部門
果樹品種育成研究領域落葉果樹品種育成グループ

H.A. 信州大学農学部(学士)

リンゴ品種育成と品種育成に関わる研究

私の仕事は、新しいリンゴ品種をつくること(育種)と、育種を行うために必要な研究をすること(研究)です。育種では、既存の品種よりも、おいしくて、見た目がよくて、作りやすいものを目指して、たくさんのリンゴの中から選抜を行っています。調査の日には数十個もの食味調査を行うので肉体的に大変ですが、私の選んだリンゴが普及するかもしれないと思うとわくわくします。研究で注力しているのは、病害抵抗性に関する研究です。果樹は農薬の散布が非常に多い作目であり、費用や労働時間の削減のため、病害に強い品種が求められています。しかし、抵抗性を持つ素材は野生種など現代のニーズには適合しません。栽培品種に抵抗性を導入するためには遺伝様式の解明や効率的な選抜方法の開発が必要であり、今後の品種開発の基礎になると期待しています。

仕事をしていて、一番嬉しかったこと

「一番嬉しかったこと」ではないのですが、私は日々楽しく研究・育種業務を行っています。育種では、果実の微妙な差がおいしい、おいしくないに関わっていて、日々発見があって面白いです。研究では工夫をすることに面白さを感じています。私はリンゴの葉に感染する病気の接種試験を行っているのですが、はじめは接種しても上手くい来ませんでした。その原因をさぐって接種法を最適化できた時には喜びを感じました。とはいえ、これらの業務は大変時間のかかる果樹育種において、小さく切り取った1シーンでしかありません。今後、私が関わった品種が登録され、リンゴの「ふじ」やブドウの「シャインマスカット」のように普及したときにこそ大きな喜びを得られるのではないかと思っています。

農研機構を選んだ理由

農村部で育ったため、農業で社会に貢献したいという気持ちがあり、農学部に進学しました。大学時代には農業現場の問題を解決するような仕事をしたいと具体的に考えるようになりました。公務員や種苗メーカーへの就職も考えましたが、現場に近い環境で研究ができる農研機構の研究職に魅力を感じました。学部卒での採用だったので、大学院の修士課程へ進学して実力をつけてから就職するべきなのかと迷いましたが、パーマネント採用の研究職で学位の取得も奨励されていることから、業務を行う中で専門性を身につけつつ長く研究を続けられる職場なのではないかと考えて入構を決めました。実際職場では、様々な業績を残されている諸先輩研究者の指導を受けながら主体的に研究業務を行える環境が整っており、将来的には学位取得も視野に入れつつ、安心して仕事ができています。

現在、就職活動をしている学生にアドバイス

私は学部卒で採用されたのでほとんど研究経験がなく、自分に研究職をやっていけるか不安でした。実際に、入構して経験や実力が不足していると感じる場面もあります。しかし、自分のやりたかった仕事ができる環境だからか、前向きに楽しく仕事に打ち込めています。これは「学部卒だから」と研究職を諦めていたら出来ていなかったことかなあと思います。
あまり深く考えこまず、やりたいこと、やってみたいことを目指して素直に行動するのもいいのかもしれません。

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