先輩インタビュー

研究職 (試験区分:畜産)

2021年度採用

畜産研究部門
乳牛精密管理研究領域乳牛精密栄養管理グループ

F.M. 帯広畜産大学大学院畜産学研究科(修士)

牛の胃に生息する微生物の研究 -微生物の力でげっぷのメタンガスを減らす-

牛は牧草などの飼料を食べて生きていますが、実は牛自身は飼料を分解できません。牛の胃に生息する多種多様な微生物が飼料を分解・発酵することではじめて、牛はエネルギーを獲得できるのです。一方で、飼料の分解過程で生じる温室効果ガスのメタンは、げっぷとして大量に空気中へ排出されてしまいます。私は牛の健康と地球温暖化抑制を両立すべく、メタン産生を減らす働きのある胃内微生物について研究しています。牛の胃内微生物の多くがまだ培養されておらず働きが未解明であるゆえ、研究が思うように進まないことも多くあります。その反面、誰も知らない微生物の働きを解明したときはワクワクします。微小な微生物が大きな牛の健康を支えるだけでなく、地球を救う一手になる可能性を秘めていると思うと、この研究はとても夢のある仕事だと感じます。

仕事をしていて、一番嬉しかったこと

自分の成長を実感する瞬間が多いこと、そして成長の先に新しい発見をできることがこの仕事の醍醐味だと思います。研究をする上で必要な技術や知識は無数にあります。もちろん、それらを最初から持ち合わせている人はいません。配属当初の私は右も左もわからず、「これだけは他の人に負けない」という研究における自負もありませんでした。上司や先輩職員に教わりながら一つずつ必要な研究技法を身につけ、経験や情報収集を積み重ね、その結果新知見を得られたときは、自分の成長も含めて一層の喜びを感じます。研究を進めていくとその時々で必要となる技術や知識が変わってくるので、成長し続けられるのが研究職の魅力の一つであり、やりがいが尽きない仕事だと思います。

農研機構を選んだ理由

私は幼少期から大動物に興味があり、大学では畜産学を専攻していました。将来は畜産分野で働きたいという思いから、就職活動では専門分野を活かせることを主軸にしていました。はじめは飼料会社等の選考を受けていましたが、就職活動を進めるうちに、メーカーの顧客だけでなく国内外の畜産業、さらには畜産を通して世界の食を守りたい思いが強くなりました。そこで、食と農に関する日本有数の研究機関で各分野のスペシャリストと共に世界の食糧問題解決に挑戦したいと思い、農研機構を志望しました。働きながら学位を取得できる環境や海外留学制度が充実している点など、さらなるステップアップを望めることも農研機構を選んだ決め手の一つでした。将来的にはこれらの制度を活用して、世界で活躍する研究者を目指したいと考えています。

現在、就職活動をしている学生にアドバイス

数ある就職先の中から自分に最も適した一つを探すのは、とても難しく時間もかかります。人生の岐路に立つことをストレスに感じている方もいるかもしれません。ですが(就職活動に限らず)、「何を選択するか」よりも「選択した先で自分がどう頑張るか」の方が大事だと私は思います。自分が頑張れる環境がそこにあるか、そこでやってみようと思えるかどうかをぜひ考えてみてください。納得のいく就職活動になること、そしてその先々でのご活躍を応援しております。

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