テンサイ育種研究に関わる技術支援。試験圃場の作成・管理から機械整備まで

北海道では砂糖の原料としてテンサイが栽培されています。帯広市に隣接する芽室研究拠点では、テンサイ育種研究グループが病害抵抗性・生産性に優れた品種の育成・普及を行っており、私はその研究の支援業務に携わっています。業務内容は栽培試験圃場の作成・管理と種子採種を行う温室管理を中心に、種まきから収穫・分析作業、温室の耕起・植え付け、ポット用土の準備、作業機械の整備など多岐にわたります。配属された当初は、機械の使い方や年間の作業の流れなど分からないことが多く不安もありましたが、先輩職員や関係職員の方々が丁寧に教えてくれて少しずつ慣れていくことができました。また、慣れてくると作業技術の向上と管理してきた圃場の結果が見えてきて、自分の研究への貢献や出来ることが増えている実感がわきとてもやりがいがあります。

仕事をしていて、一番嬉しかったこと

テンサイ育種研究の研究支援の中で、試験サンプル塊根の罹病程度を調査する業務があります。従来サンプルの洗浄は容器内で手洗いしていましたが腐敗部分が消失しやすく作業者によってバラつきが生じることや、洗浄水の交換に時間と労力が必要だという問題を抱えていました。これらの問題を解決するため、試験サンプルを洗浄するノズル付きの洗浄台を考案しました。洗浄条件や洗浄終了の判断が容易となり、作業者によるバラつきや腐敗部分の消失も減少し、洗浄水の交換も不要となり洗浄時間は半減しました。現場の問題解決に役立てたこと、自分の仕事がどんな風に研究支援に繋がっているか実感できたことを嬉しく思いました。自分の作業技術の改善と向上に繋げていけることがこの仕事の醍醐味だと思います。

農研機構を選んだ理由

私は高校時代まで農業に関わりがなく、進路を決める際に自分が普段食べている物はどうやって作られているか知りたいと思い、農業大学校に進学しました。農業大学校の授業の中で畑での作業の面白さ・難しさについて学ぶことができ、自分が触れてこなかった作業や技術を知ることは楽しいことだと実感できました。また農業の高齢化や機械化といった課題を知りもっと農業について知りたい・貢献したいと漠然と思っていたときに、学校の先生から農研機構について教えてもらいました。「シャインマスカット」や「べにはるか」など、普段から目にする品種の開発からロボットトラクタ、ドローンでの画像解析など幅広い分野で研究開発を行っていることを知り、ここでなら様々な分野での農作業や技術を学び、これからの農業に貢献出来ると思い入構を希望しました。

現在、就職活動をしている学生にアドバイス

経験のないこと、知らない場所への不安や悩みはあって当然ですし、どれだけ準備をしても完全には解消出来ないと思います。なので自分の気持ちを家族や友人、コミュニティに吐き出したり、就職活動を一旦忘れて趣味に没頭したり気持ちを切り替える時間を作ってみてください。気持ちの切り替えができると余裕ができて不安も和らぎます。まずは自分を大切にして余裕のある就職活動、社会人生活を送ってください。応援しています!