
遺伝子を後世に残す仕事に惹かれて
中学の時、英語の教科書でイギリスにあるキューガーデンの「ミレニアムシードバンク」を知り、種子保存のためにいろんな種を集めるところに魅力を感じて遺伝資源に興味を持ちました。遺伝子を後世に残すということにロマンを感じたんですよね。それで、大学も農学部に入学しました。大学生の時には、イギリスの友達にキューガーデンに連れて行ってもらいました。ずっと行ってみたかったので嬉しかったですね。就職活動で種苗管理センターを訪問した際、種苗検査の紹介をしてくれた女性の方が魅力的だったので、一緒に仕事したいなぁと思いました。仕事自体も自分に向いてそうだったし、居心地が良さそうなところだと感じました。
農場を経験してから本所へ
最初に種苗検査課に配属され、職場訪問した時にお会いした女性の方と一緒に働くことができました。また、上司は発芽検査の師匠みたいな方で、すごく面倒をみていただいたこともあって、とても楽しく働けました。つくばでの6ヶ月間の研修を終えた後、北海道中央農場で2年間お世話になりました。同年代や女性が少なかったですが、特に不便は感じたことはなかったですね。農場ではトラクターに乗る機会があるので大型自動車免許も取得しました。フォークリフトの研修も受けましたが狙ったところにうまくフォークを刺せず、自分には向いてなかったみたいです(笑)。ですが農場で何度も扱ううちに少しは上達したかと思います。宿舎が職場のすぐ近くにあったので、みんなでBBQや雪かきをしたり、生活面でも協力し合っていました。その後、現在の種苗管理センター本所に異動になりました。
本所での仕事
現在所属している種苗検査課では、主に種苗業者から依頼を受けて種子の品質証明書を発行する仕事をしています。国際種子検査協会(ISTA)から承認を受けて検査をしていて、発芽率、種子サンプルの中に夾雑物や異種種子がどのくらい混じっているか調べる純潔度合、含水量、異種の粒数や特定の病害などを調べます。私は依頼受付と証明書の発行を担当していて、証明書は種子を取引きする際の品質に係る公的証明として使用されています。
そのほかに、夏と冬は全国にある種苗業者を訪ねて種子を集めてきて、種苗法に基づいて品種名や発芽率などの事項について正しく種袋に表示されているかどうか確認する表示検査や、表示されている発芽率どおり発芽するかなどの品質検査をしています。
種子の集取は全国規模でおこなうため、種苗管理センターの各農場にも協力してもらいます。本所のつくばでは東北から三重までの地域を担当しており、夏と冬それぞれ40社程度、一人あたり2~3回出張して種子を集めてきます。全国から集めてきた種子の品質検査して、その結果を通知し、改善すべき事項があった場合は改善報告を種苗業者にしてもらいます。
種子の検査は細かい作業なので、集中力と根気が必要です。でも淡々と進んでいく感じが好きですね。計画どおり仕事が進むと気持ちいいですし、モチベーションも上がります。発芽しない場合は別の手法に変えてみたり、変わった植物の発芽試験をするのも楽しく、勉強になります。
仕事と育児の両立
現在2歳の息子がいます。息子が8カ月の時、4月から保育園に入れるタイミングで職場復帰しました。1歳になるまでは「保育時間」、病気の時は「子の看護休暇」などの特別休暇を利用して、育児と仕事をなんとか両立できるように頑張っています。職場の雰囲気もよく、休暇は取りやすいです。夫は遠距離通勤のため、毎日の保育所の送迎は私の担当です。そのため、残業ができず他の方にお願いすることが多くなりました。同僚には申し訳ないのですが、いつも快く引き受けてくれるので助かっています。出張も、育休復帰後は保育園のお迎えに間に合う時間に戻って来られるような近い地域を担当にしてもらうなど、調整してもらっています。
仕事以外の時間はすべて息子との時間になりますね。ほっぺとかぷくぷくで食べちゃいたいくらいかわいいです(笑)。休日には、公園を散歩したり住宅街にある丘で近所の子どもたちと一緒に遊んだりしています。
これからのこと
今後のキャリア形成についても関心はありますが、ステップアップするには農場での経験が必要になります。今はまだ子どもが小さいのでなかなか難しいですが、いつか憧れの地、沖縄の農場に行ってみたいと思っています。
