ダイバーシティ推進 Diversity and Inclusion

岡村 昌樹 中日本農業研究センター 水田利用研究領域 主任研究員

自分の夢にまっしぐら!これまでも、これからも
日本の農業のために貢献し続けたい。

きっかけは北海道への家族旅行

研究者を志すことになったきっかけですか?ちょっと早いんですけど、小学生の時の、北海道への家族旅行ですね。その時食べたメロンのおいしさに衝撃を受け、それが農業研究者を目指すきっかけになったと思っています。幼少期は神奈川県三浦市に住んでいたのですが、ご存じかと思いますが、三浦市にも農地はたくさんあり、三浦産のメロンを口にすることもありました。しかし、北海道で食べたメロンと三浦市で作られるメロンの味の違いを実感し、食品としての植物を対象とした研究に大いに興味を持ちました。作物が作られる気候・風土の影響もあるんでしょうけど、その時に、品種改良などの作物に関する研究に魅力を感じました。しかも、身の回りに農地がたくさんある環境だったので、農業に関することを将来仕事にするといったことに対して、特に違和感も感じませんでしたね。その後、小学校5年生の時に横浜市に引っ越したのですが、それまで当たり前だった、日常的に土いじりができる環境から離れてしまうことによって、さらに農業に対する思いも強くなりました。その思いはぶれることなく、中学3年生の時点で将来は農学部に入学し、農業の研究者になることを決めていましたね。子供のころから農業って、日本の産業の中でも最も重要な産業の一つであると思っていましたから、そこに対して貢献できることも魅力だったんだと思います。

水稲の研究をスタート

大学は中学生時代から決めていた通り、何の迷いもなく農学部に入学しました。研究室に入る前まではサッカーと野球のサークルに入るなど、普通の学生時代を送っていました。4年生から研究室に入りましたが、最初から博士の学位を取ることを目指していました。研究内容は水稲の茎や葉にたまる糖やでんぷんの代謝についてです。基礎的な研究ではありましたが、糖やでんぷんの代謝は水稲の登熟に大きく影響し、生産性に直結することなので、応用にもつながる研究です。その研 究テーマで学位を取得しました。また、学生時代と農研機構に就職してからの研究成果で、日本作物学会の研究奨励賞(イネの茎葉部および穎果におけるデンプン・ショ糖蓄積に関わる分子生理・生産生理学的研究)も受賞することができました。

農研機構への就職

大学の研究室の先輩から声をかけていただき、作物研究所(現・作物研究部門)の研究室を訪問したのを契機として、任期付職員に応募することになりました。先輩が声をかけてくれたきっかけですか?やはり学生時代から積極的に学会に顔を出し、この分野の仕事について存在を認識してもらっていたことが大きいんじゃないでしょうか?学会などに参加してネットワークを広げておくことは本当に大切だと思います。ちょうど訪問した研究室で大きなプロジェクトが始まり、その仕事 に私の大学院での研究がぴたりとマッチしたこともあり、任期付職員として採用されました。先輩から声をかけてもらわなければ、採用されることもなかったのですから、やはり人と人とのつながりは大切ですね。

就職半年でピンチとチャンス

でもその半年後にちょっとしたピンチに見舞われました。所属研究室の上司が、「君なら大丈夫!」という言葉と、大きな予算を残して、大学に転職してしまったんです。いきなり就職したばかりで、上司がいなくなり戸惑いましたが、研究の進め方自体は、すでにトレーニングを受けているという自負がありましたし、周りの方々の助けもあり、思う存分に研究に打ち込むことができました。ポジティブな性格に助けられたところもあったのかもしれませんが、農研機構では特に若手の研究者が研究に集中できる環境があるのがありがたかったですね。しかも、大きなプロジェクトであっただけに、農研機構の研究者だけでなく、農研機構外の多くの研究者とも一緒に仕事をする機会に恵まれました。この時作ったつながりは、予算獲得や研究を進めていくうえで、今でも十分に生きていて、大きなチャンスをもらったと 思っています。

子育ては輪番制

パーマネントの職員になるタイミングで中日本農業研究センター上越研究拠点に異動になりました。異動して半年後に子供が生まれました。今、子供は4歳と2歳の二人姉弟です。妻がやはり農研機構の研究職員ですので、子育ては互いに分担して行っています。私自身、寝つきが悪いということもあり、子供の寝かしつけは私の主担当です。妻が寝かしつけるとどうしても寝落ちしてしまうようですが、こんなところで私自身の寝つきの悪さが活かせるとは思ってもいませんでした。寝かしつけている時間は、私にとっても思索の時間です。子育てをしていると、どうしても仕事に割ける時間には制約があるため、日中にゆっくりと仕事について考える時間を作るのは難しいです。そこで、子供を寝かしつけるためのこの静かな時間を利用して、研究の段取りを考えたり、研究の構想を練ったりしています。そのあと、妻ともコミュニケーションをとるようにしています。妻も研究者ですので、どちらかだけが我慢する、といった状況は作りたくないですからね。
子供が熱を出して急なお迎えが必要な時は、前回妻が迎えに行っていれば、今回は私が、といったように可能な限り輪番制を取っています。そのほかのことでも、輪番制を取っていることは結構ありますね。子育てをしながら共働きしていくことは確かに大変です。毎日があっという間に過ぎて行ってしまい、子供を中心として時間が回っていきます。でも、周囲の方の理解にも助けられていますし、何より子供たちがかわいくて仕方がないですね。

研究試料の運搬に使っている愛車。機動力重視です。/北鱗会(上越研究拠点の釣り部?)のキス釣り大会に家族で参戦しました。結果は惨敗でしたが、釣った魚を美味しく頂き、子供たちは大喜びでした。/上越は山あり海ありで子供たちと遊ぶ場所に困りません。写真は妙高高原の公園で。