中央農業研究センター

病害研究領域

高接ぎ木栽培によるトマト青枯病防除技術

単一作物の周年栽培で発生する連作障害や、地球温暖化等の影響により変化する病害虫の発生に農作物の安定生産はいつも脅かされています。これまでは、それらを管理するため化学合成農薬の力に大きく依存してきましたが、その一方で地球環境に悪影響を与えることもありました。本研究領域では、21世紀の日本農業に相応しい生き物や自然の力も利用した病害の総合防除技術体系の開発に取り組んでいます。
この目的を達成するためには、発生する病害を的確に予知する技術、またその発生する病害を防除する技術などを用意しなければなりません。また、それら技術を作物の栽培方法や生育環境に応じて最大の効果を発揮するように組み合わせた防除体系を開発する必要があります。そして、その防除体系を利用した際に、どの程度の被害に抑えることができるのかシミュレーションすることも重要です。私達は、作物生産で発生する病害を効果的に防除する新規技術を開発するとともに、人類が利用できるあらゆる防除技術を総動員して環境に負荷をかけずに利用できる防除体系マニュアルに取りまとめ、全国の多くの農業者、農業指導者の皆さんにご紹介しています。また、中央農研出前技術指導等の農研機構にある様々な普及制度を利用して産地を抱える地方自治体や企業の皆さんと連携しながら生産現場の方々に新技術を利用して頂いています。
本研究領域には、この様な活動に取り組む4つの研究グループが配置されています。生態的防除グループでは作物における病害の発生生態の解明や、その実態に基づく効果的な環境保全型防除技術の開発に取り組んでいます。抵抗性利用グループでは、作物の抵抗性遺伝子の特性や栽培環境適性などを踏まえた抵抗性品種の有効な利用方法を開発しています。病害防除体系グループでは、作物の栽培地環境を踏まえそこで利用できる幾つかの防除技術を効率的に組み合わせた総合防除体系を開発しています。リスク解析グループでは、病害のまん延や経済的影響に関係する要因を解析しより効率的な管理方法を開発しています。 また、高精度理化学機器を設置した環境保全型病害虫防除技術開発共同実験棟も整備されており、地方自治体や民間企業の方々と病害防除のための共同研究を精力的に展開しています。農作物の栽培で発生する病害管理でお困りの方がいらっしゃいましたらお問い合わせ下さい。

領域長

大藤 泰雄(おおとう やすお)

所属グループ