経営評価グループでは、北海道地域における高収益営農システムの構築に向けた経営評価研究並びに調査を実施しています。以下に研究の概要を紹介します。
水田作における新技術導入による経営改善効果の評価
水田作経営に対しては、水稲・小麦・大豆・タマネギ等を生産する営農モデルを作成し、地下灌漑の活用や直播等の新技術の導入が農業経営の面積をどの程度拡大可能とし、その結果、どの程度の所得増加が見込めるか等を明らかにし、水田作経営の改善を支援します。また、北海道水田農業の大規模化,野菜作展開の動向解析を行うとともに、加工・販売への取り組みにより露地野菜等の農産物の差別化を図る大規模水田作経営のビジネスモデルを提示します。
酪農における新技術導入よる経営改善効果の評価
酪農経営に対しては、国産濃厚飼料の普及を図るために、耕種農家による生産と畜産農家による利用の経営経済的条件を提示します。併せて、国産濃厚飼料利用により生産された生乳を原料とした乳製品の市場性を評価します。また、高栄養・高タンパク質牧草を安定的に供給するための草地管理・放牧技術体系の導入効果を評価します。さらに、泌乳平準化牛の経済的効果を推定し、泌乳平準化牛による経産牛100頭規模の酪農経営モデルを提示します。
農業経営の管理運営側面を対象にした各種方策の提示
農業経営の管理運営側面を対象に、大規模雇用型経営が抱える従業員の定着問題や自律性向上課題の解決に向けた従業員の組織コミットメント向上方策の提示、輸出に取り組む際の国際認証取得に有効な栽培技術の整理を進めます。また、大規模法人経営への農地の面的集積の加速化に向けて、農地中間管理機構等の諸制度を利用した方策を明らかにします。さらに、北海道の放牧酪農経営を対象に、放牧経営の特徴や課題を解明します。
経営評価グループでは、これまで、農業経営の成長や発展、地域農業の活性化を目指した各種成果を公表しています。代表的なものとして、就農支援の充実に向けた「新規就農指導支援ガイドブック」、雇用型法人経営においてGAP導入をより幅広い経営改善に結びつけるための「経営改善のための農場生産工程管理のポイント」、直売所向け切り花の様々な問題に対応した「直売所の切り花向け新技術に関する12通りの活用法」等があります。