- 牛
- 鹿
- 馬
- めん羊・山羊
- 豚
- 鶏
- その他・家きん
- 蜜蜂
- その他・家畜
対象家畜 : 牛、水牛、鹿、馬、めん羊、山羊、豚、いのしし
1. 原因
類鼻疽の原因菌である類鼻疽菌(Burkholderia pseudomallei)は、鼻疽菌によく似ているが、土壌菌の一種であり、グラム陰性桿菌で、鞭毛を持ち運動性がある。類鼻疽菌が馬に感染すると鼻疽によく似た結節性病変を示すので、鼻疽との鑑別が重要である(鼻疽菌は運動性がない)。鼻疽菌とともに類鼻疽菌も感染症法の三種病原体等に指定されており、同法の規制の対象となる。
2. 疫学
類鼻疽菌は、熱帯、亜熱帯土壌に分布し、特に東南アジア、オーストラリア北部に多く分布する。我が国での発生はない。類鼻疽は、げっ歯類、めん羊、山羊、馬、豚、猿、牛、犬、熱帯魚、野生動物での発生がみられ、まれに人にも感染することがある。土壌や水中の類鼻疽菌が、経口感染、経気道感染、経皮感染などにより、患畜に取り込まれる。
3. 臨床症状
多くの動物において、急性例では発熱、食欲不振や敗血症死がみられ、慢性例では食欲減退と元気消失を呈し、次第に削痩することが多い。馬では、発熱、食欲不振、膿性鼻汁の排出、副鼻腔粘膜の乾酪性小結節の形成などの鼻疽と類似の症状がみられる。
4. 病理学的変化
肺、脾臓、肝臓、胸腔リンパ節などに化膿巣や、類結核肉芽腫性病変がみられる。
5. 病原学的検査
類鼻疽菌の分離培養には、病変材料を材料に、血液寒天培地あるいはマッコンキー寒天培地を用いる。病変材料の乳剤を雄モルモットの腹腔内に接種すると鼻疽菌と同じく、精巣にStraus反応がみられる。鼻疽菌との鑑別にはPCR法も利用可能である。
6. 抗体検査
血清反応として補体結合反応、間接血球凝集反応、蛍光抗体法がある。
7. 予防・治療
ワクチンはなく、患畜は殺処分する。
8. 発生情報
9. 参考情報
獣医感染症カラーアトラス第2版(文永堂)、動物の感染症第4版(近代出版)、馬の感染症第4版(JRA総研)、家畜伝染病ハンドブック(朝倉書店) 、捕獲海洋動物および鳥類の類鼻疽、日本獣医師会誌、54、748-750 (2001)
編集 : 動物衛生研究部門
(令和3年12月 更新)