- 牛
- 鹿
- 馬
- めん羊・山羊
- 豚
- 鶏
- その他・家きん
- 蜜蜂
- その他・家畜
対象家畜 : 牛、水牛、鹿、豚、いのしし、犬
1. 原因
原因菌はスピロヘータ目、レプトスピラ科、レプトスピラ属の病原性レプトスピラ(Leptospira interrogansなど)。家畜伝染病予防法による届出対象は以下の7血清型。ポモナ(Pomona)、カニコーラ(Canicola)、イクテロヘモリジア(Icterohaemorrhagiae)、グリポティフォーサ(Grippotyphosa)、ハージョ(Hardjo)、オータムナーリス(Autumnalis)、オーストラーリス(Australis)。
2. 疫学
本菌はほとんど全てのほ乳類に感染する。特にネズミなどの齧歯類は高率に保菌しており、重要な宿主と考えられている。感染した動物は本菌を腎臓に保有し、尿中に排出する保菌動物となり、人や家畜は保菌動物の尿により汚染された土壌や水を介して経皮あるいは経口感染する。本菌の血清型分布には地域性が認められ、流行する血清型は国や地域により異なる。
3. 臨床症状
感染血清型や宿主動物種により様々である。牛では発熱、黄疸、血色素尿、乳量減少、および流産や死産、不妊などの繁殖障害が認められるが、多くの個体は無症状あるいは元気消失程度である。豚では妊娠豚に流死産あるいは新生子障害が認められるが、非妊娠豚では一般的に軽症である。
4. 病理学的変化
急性例では諸臓器や皮下組織、粘膜に黄疸、点状出血を示す。慢性例では病変は腎臓に限局し、皮質に小白色斑が認められる。主な組織学的変化は肝臓の壊死、腎臓および尿細管の変性、壊死である。
5. 病原学的検査
感染初期であれば血液および肝臓、慢性期であれば尿、腎臓および尿細管、流産であれば流産胎子を材料とする。菌分離はEMJH培地あるいはコルトフ培地に材料を接種後、30°Cで数日~2ヶ月程度培養することで行う。補助診断として、flaB遺伝子や16S rRNA遺伝子などを標的としたPCR法が有用である。
6. 抗体検査
顕微鏡凝集試験(MAT)法が最も一般的であり、ペア血清で4倍以上の抗体価上昇が認められた場合、陽性と判定される。本法には複数血清型の標準菌株と暗視野顕微鏡が必要である。
7. 予防・治療
予防としては飼養衛生管理を徹底することが重要である。特にネズミの飼育舎への侵入防止と駆除に努める必要がある。
治療にはストレプトマイシン、ペニシリン、テトラサイクリンなどの抗生物質が有効である。
8. 発生情報
9. 参考情報
獣医感染症カラーアトラス第2版(文永堂)、動物の感染症第4版(近代出版)、家畜伝染病ハンドブック(朝倉書店)
編集 : 動物衛生研究部門
(令和3年12月 更新)