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- その他・家畜
対象家畜 : 鶏、あひる、七面鳥、うずら
1. 原因
トリ型結核菌(Mycobacterium avium)を原因とする。トリ型結核菌には4亜種が存在し、このうちaviumとsilvaticum の2亜種が鳥類に病原性を有するが、本病はほとんどの場合Mycobacterium avium subsp. avium により引き起こされる。トリ型結核菌は、人工培地における増殖速度が遅い遅発育抗酸菌である。
2. 疫学
主要な感染経路は病鳥の排泄物や環境中の菌を介した経口感染である。トリ型結核菌感染はキジ科家きんや野鳥において最も一般的であり、シチメンチョウはきわめて感受性だが、アヒル、ガチョウおよび他の水鳥は比較的抵抗力がある。本病は世界中に発生しているが、先進国では激減している。現在日本ではまれに野鳥や動物園で飼育されている鳥類での報告がある。
3. 臨床症状
ほとんどの場合、感染鳥は臨床症状を示さないが、最終的には慢性的な消耗、下痢が一般的であり、鶏冠や肉垂の退行、退職を発症することもある。まれに呼吸器系の兆候を示し、突然死する。
4. 病理学的変化
肝臓や脾臓の腫大、肝臓や脾臓、腸管における黄白色の結核結節の散在が認められる。結節の中心に乾酪壊死、その周囲に類上皮細胞とラングハンス巨細胞よりなる中間層があり、最外層を円形細胞と結合織層が取り囲んでおり、菌は乾酪壊死巣や類上皮細胞層に散在する。
5. 病原学的検査
生前検査として鳥型ツベルクリンによる皮内反応を行うことが可能であるが、家きん以外の鳥類に用いることはできない。病変部や排泄物からの菌分離と亜種同定を行う。遺伝子挿入配列IS901の検出を行う。亜種aviumとsilvaticumの鑑別には、リアルタイムPCRのインターカレーション法における融解曲線解析で、Tm値の違いが利用可能であり、また特異的な配列をターゲットとしたリアルタイムPCRの方法もある。
6. 予防・治療
ワクチンによる予防法はなく、化学療法も困難である。病鳥と診断された鳥の早期摘発と淘汰によるまん延防止を図る。ニワトリなど集団飼育する鳥類では、野鳥との接触防止が重要である。鶏舎環境の一般的な衛生対策はまん延防止に役立つ。
7. 発生情報
8. 参考情報
獣医感染症カラーアトラス第2版(文永堂)、動物の感染症第4版(近代出版)、家畜伝染病ハンドブック(朝倉書店)、鳥の病気第8版(鶏病研究会)、家禽疾病学第2版(鶏病研究会)
編集 : 動物衛生研究部門
(令和6年11月 更新)