動物衛生研究部門

家畜の監視伝染病タイトル

マレック病 (Marek's disease)

  • 鹿
  • めん羊・山羊
  • その他・家きん
  • 蜜蜂
  • その他・家畜

対象家畜 : 鶏、うずら

1. 原因

ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)、アルファヘルペスウイルス亜科(Alphaherpesvirinae)、マルディウイルス属(Mardivirus)に属す。ゲノムは直鎖状の2本鎖DNAで、160~180 Kb。T細胞に持続感染し、T細胞(CD4+)の腫瘍を誘発する。血清型は1、2、3の3種類、血清型1のみ病原性がある。

2. 疫学

感染性ウイルスを含むフケは経気道感染し、垂直感染はない。発症するのは2~4ヶ月齢に多い。

3. 臨床症状

末梢神経がおかされる古典型では、翼麻痺、脚麻痺、斜頚がみられ、死亡率は10%以下。末梢神経に加えて内蔵に腫瘍が形成される急性型では、死亡率は10~50%になる。その他、羽包を中心に腫瘍が形成される皮膚型と瞳孔の収縮と虹彩の変形を伴う眼型がある。

4. 病理学的変化

末梢神経は浮腫性に腫脹し、腕神経叢、腰神経叢、頚部迷走神経に病変が出現する。腫瘍化すると肝臓は腫大し、白色の結節がび漫性あるいは結節性に散在する。脾臓は腫大し、白色結節が多発する。ファブリキウス嚢、腎臓、卵巣、腺胃、心臓、肺、筋肉などにも腫瘍がみられる。マレック病の組織病変は炎症性腫瘍性病変で、大小様々なリンパ細胞の集積を特徴とする。

5. 病原学的検査

感染しても発症しないことが多く、ウイルス検査は確定診断にはならない。肉眼病変、組織病変から診断する。類症鑑別が必要な鶏白血病や細網内皮症とは病理組織検査で鑑別できる。

6. 抗体検査

感染しても発症しないことから、抗体検査も確定診断にはならない。

7. 予防・治療

成鶏は健康に見えても、フケ中にウイルスを放出しており、これが感染源。ワクチン免疫成立までは(孵化後2週間)は、成鶏の近くで雛を飼育しない。また、雛の管理者は衣服を交換して、ウイルスを持ち込まないようにする。ワクチンは血清型1型のものが有効で、卵内接種または孵化時に確実に接種する。卵内接種法はワクチン免疫を早期に誘導するのに優れている。治療法はない。

8. 発生情報

監視伝染病の発生状況(農林水産省)

9. 参考情報

獣医感染症カラーアトラス第2版(文永堂)、動物の感染症第4版(近代出版)、家禽疾病学第2版(鶏病研究会)、家畜伝染病ハンドブック(朝倉書店)


編集 : 動物衛生研究部門
(令和3年12月 更新)