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対象家畜 : めん羊
1. 原因
クラミジア目の流行性羊流産菌(Chlamydophila abortus)を原因とする。クラミジアはグラム陰性偏性細胞内寄生性で細菌培養用の培地では発育せず、培養には培養細胞や発育鶏卵を用いる。
2. 疫学・臨床症状
初産のめん羊の妊娠末期に発症し、流産、死産、虚弱子の分娩がみられる。妊娠胎児にのみ発症し、母獣には発熱がみられる程度である。本症はヨーロッパ、北米、ニュージーランドなどで多発しているが、わが国での発生はない。
3. 病理学的変化
主要病変は胎盤炎で、胎盤の絨毛膜に浮腫と壊死をみとめる。流産胎児には浮腫と充血をみとめる。
4. 病原学的検査
遺伝子診断、胎盤及び流産胎児の塗抹標本をギムザ染色、蛍光染色によりクラミジアを検出する。病原体の分離には培養細胞や発育鶏卵卵黄嚢内接種を用いる。
5. 抗体検査
補体結合反応が用いられるが、C. abortusはC. pecorumや他のグラム陰性菌と共通抗原を有するために完全に特異的ではないこと、また、抗体の上昇が認められない感染例があることを考慮する必要がある。
6. 予防・治療
ヨーロッパでは生ワクチンが用いられている。
7. 発生情報
8. 参考情報
獣医感染症カラーアトラス第2版(文永堂)、動物の感染症第4版(近代出版)、家畜伝染病ハンドブック(朝倉書店)
編集 : 動物衛生研究部門
(令和3年12月 更新)