動物衛生研究部門長に就任して初めての海外出張は、ベトナム国家農業大学校との研究交流協定合意書調印式に出席するためベトナムハノイ市へ。 市内には車、バイク、人がとんでもなく多く、クラクションが響き渡る。信号は大きな通りの交差点にあるくらいで、まるで「AI?」と思うくらい、すき間をぬって走り、曲がり、交差し、よどむことなく流れていく。自己責任。
主目的のベトナム国家農業大学との研究協力の覚書調印後、郊外を車で回ってもらった。学生さんの実習先という養豚場。「入口に消毒施設は・・・?」と見回すも、ない。学生さん達と明るく雑談。周囲は見渡す限り畑で、他の養豚場は見当たらず、気温は高い。簡単な消毒くらいだったらしてもしなくても・・・? 出発前、何も知らないでは失礼とベトナムの家畜衛生関係の資料を探してみた。その中に、技術協力に行った米国の専門家による、「Foot-and-Mouth Disease in Vietnam : What can we learn?」という資料があった。「コミュニケーション能力」だとか「柔軟で適応力の高い技術」、「現地の知識、風習、文化の尊重」に並んで、「"Our" priorities may not be "their" priorities.("我々の"優先事項が"彼らの"優先事項とは限らない)」というのがあった。なるほど、地域や時代にマッチしない対策は迷惑だ。イノベーションは機構の大きなテーマ。飛躍した未来の姿。今まで築き上げてきた基盤の上で、遠くを眺めてみる。疾病の背景、要因、特性を踏まえた、無駄のない、流れるような対策が見えてくるかもしれない。
2018年6月13日
小倉部門長が出席した、「ベトナム国家農業大学(Vietnam National University of Agriculture:VNUA)との研究交流協定合意書(Memorandum of Understanding:MOU)調印式」の記事は、こちらです。