動物衛生研究部門

NIAH病理アトラス

豚赤痢 (届)

Swine dysentery

病気の概要

別名 Pocine ulcerative spirochaetosis
原因 Treponema hyodysenteriae
疫学 8~14週齢の子豚が最も高感受性。発症率は最高90%。死亡率は最高50%。
症状 赤痢。
肉眼所見 病変は盲腸,結腸および直腸に限局する。病変は螺旋結腸で最も高度である。病変部粘膜では皺襞が形成され,表面は線維素粘液性浸出物によって被われる。点状出血や,病変が進むと潰瘍を伴う。(Veterinary Pathology, 6th ed.)
組織所見 粘膜が特に冒される。最初に粘膜が肥厚し,そして表層上皮が壊死・剥離する。線維素粘液性浸出物が顕著となる。杯細胞から分泌された粘液が陰窩腔を充たす。上皮細胞が失われるのにつれて,固有層は白血球浸潤を伴い肥厚する。陰窩と上皮細胞には多数のスピロヘータが存在する。Vibrio coliを含む他の菌が陰窩内や腸管腔内のデブリ中に多数存在することもある。病変の特徴および銀染色,蛍光抗体法あるいは電子顕微鏡検査による結腸粘膜中のスピロヘータの確認により,診断が確立される。(Veterinary Pathology, 6th ed.)